【SLAM DUNK】カフネ前編 (ページ17)

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15.約束の前日ページ17

会えていなかった間に

あの音を鳴らすような笑い方も

あの俺をまっすぐ見つめる瞳も

変わっていなかった

あの頃と同じように

笑い合えてよかった

『おかえり。お兄ちゃん。あのね。』

兄が帰宅して、玄関まで猪突猛進した。

「うわ。」

兄が驚きながらも受け止めてくれて、よかった。
私、玄関のドアに顔をぶつけるかと思った。

「ただいま。どうした？」

私が中学生の時は、早く帰ろうっていつも気にかけてくれていたこと、嬉しかったけど、申し訳なくて。
高校生になって、こうして遅く帰ってきてくれることが、嬉しい。
私もあの頃よりは大人に近付いてる。

『あのね。』
『入院してた時に会った人に会ってね。』
『その時の手術の跡じゃないんだけど、その人の縫った跡、キレイに塞がってたの。』
『よかったよねー。』

思い出して思わず頷いてしまう。
本当によかった。
キレイに縫えてる人がいる、って思うと、なんだか救われる。

「そりゃよかったな。」

兄は大学2年生。

大学生まではバスケをやりきって。
俺のバスケ人生を謳歌する。
そう言ってた。

「インターハイなんだけどさ。」
「俺、監督とキャプテンと、インターハイ観に行くし、時間が作れる時はAの試合も観るから。」

兄は大学生でもバスケをしていて、今や時期、副キャプテン、らしい。
自分の大学に入ってくるかもしれない選手を観にくるんだろうな、と察する。

『ありがとう。』

私のことも気にかけてくれてるんだろう。

『明日、オフだし、出かけてくるね。』

「あれ？オフだから、朝、練習、一緒に行こう？って言うのかと思った。」
「高校に入ってから、全く言わなくなったな。」
「まっ、去年も試合、全然見れなかったし、楽しみにしてる。今度のインターハイ。」

兄とは、高校に入ってから、一回もバスケしていない。

どうしてだろう…。

兄がイヤなわけじゃない。

高校の練習がキツいからかな？

『ありがとう。』

誰にも言えない。

だって私。

選手でなければ

何も価値がない。

勝たなければ

私のせいで負けたくない。

インターハイが終わったら…このなんだか苦しい気持ち、誰かに相談してみようかな。

私…どうしたらいいの。

こわい。

なんにもなくなっちゃいそうで。