☆十二 ページ12
☆
「…えっと…汐恩くん」
汐「何？」
「あー…祥生ってJO1でどんな感じ？」
多分、私のことをあまりよく思ってないからなのか、妙に緊張してしまう。
汐「…なんやろ、普通に努力家？」
「そっか…確かに、祥生ってほんわかしてるように見えてストイックだよね」
汐「そんでめっちゃ男らしい」
「わかる！なのに美容男子っていうね！」
汐「ほんま面白いよ、あいつ」
「うんうん！！」
汐恩くん、祥生のことよく知ってる！！！
なんか嬉しい。いや、すごく嬉しい。
だから、汐恩くんにどんどん近づいて言ってることに気づかなかった。
汐「…ちょっと、」
「え？…あ、ごめ」
静かに遠ざかる汐恩くん。
…踏み込みすぎたかも
汐「あのさ」
「…？」
汐「翔也のこと、あんまたぶらかさんで」
「え？」
たぶらかす？私が？翔也を？
「なんでそう言う話になるの？」
汐「なるやろ。合コン行くとか言っといて、のこのこ翔也について来て」
「それは翔也が誘ってくれたから…」
汐「誘われたらついて行くん？」
「翔也とは仲良くなりたかったから！」
汐「それがたぶらかしてるように見えるんやって」
「なんでそうなるの？」
汐「翔也見てたら思うんだよ」
「そんなのなんの根拠もないじゃん！」
汐「根拠なくても急に出てきた女がメンバーにつっかかってきたら気になんねん」
「…結局は私が気に入らないってことでしょ？」
汐「そうは言ってないやろ」
「言ってるようなものじゃん、わかるよ」
汐「…はぁ、じゃあもうそういうことでええわ」
あぁ、壁があるとかそういうものじゃない。
私と汐恩くんは根本的に合わないんだ
翔「ごめんお待た、、、あれ？どうしたの？」
汐「………」
「ごめん翔也、今日は帰るね」
翔「え、Aちゃん送ってく…」
「すぐそこだから大丈夫だよ、じゃあ」
翔「あ……」
せっかく誘ってくれたのに、申し訳ない。
…汐恩くんの言ってること、よくわかんない
翔也が優しいから、その優しさを受け取ってるだけなのに
「………、……」
祥生にも申し訳ないな
結局、仲良くはなれなかったや。
ﾊﾟﾀﾝ
翔「汐恩、Aちゃんになんか言った？」
汐「別に、大したこと話してへんわ」
翔「嘘、Aちゃん悲しそうな顔してた」
汐「…いくら祥生の友達だからって、そう簡単に受け入れられるかよ」
翔「Aちゃんの事、傷つけないで」
汐「……はぁ」
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作者名：伊乃 | 作成日時：2021年9月11日 16時
