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「そろそろ
 俺も帰ろうかな」



「さっき来たばかりじゃない」



「敬浩さん来るんだろ?
 
 久しぶりに家族で過ごしな」




剛典も会いたいだろうに

 

お兄様が帰ってくる日はいつも用事があるとかで

剛典は全然会ってない





気を使わせているのかしら



身支度を済ませる剛典を見ながら

そう考える



「また今度
 
 敬浩さんによろしく言っておいて」



私の顔を見透かしたように

広角を上げる







コテージから剛典が帰るのを見送り

真横にあった椅子に腰掛ける




ほうと上を見上げると

美しい青が広がる




「いいお天気」




コテージは庭に繋がっていて

辺りを見渡せば小さな花が溢れている



色とりどりの花たちが

笑うように輝く




誘われるように

緑の芝生に足を踏み入れる



真っ白なワンピースが

風に揺れて広がる


長い髪が風にあたり

私の顔を覆い尽くす




器用に指先で髪をすくい
耳にかければ

広がる花景色


水をあげたばかりの花は
水滴がまだ残っていて


宝石のようにキラキラしている



宝石に夢中になっていると

向こうから聞こえる足音




お兄様が帰ってきた?





期待を込め振り向くと

そこには知らない男



こちらに近づく男は

呟いた






「.......美しい」





心臓がドクンと波を打った








彫刻のように美しく

切なく花を見つめる男に




目が離せなかった

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作者名:綾鷹。 | 作成日時:2019年1月9日 22時

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