何故か忍たま乱太郎の世界にトリップしたら天女になったみたいです４

くノ一 ページ9

居候と化した私はお風呂やトイレなどの生理現象の時以外は部屋を出ることはなかった。朝ご飯は日が昇る頃に起きてさっと済ます。昼ごはんと夜ご飯はみんなが授業を受けている時間に早めに済ませる。お風呂はくノ一教室のところで授業中に済ませている。このままでは生活リズムが狂ってしまう。……もう狂っているようなものだが。

スマホを見るともうお風呂が沸いている時間だ。それにしてもここには何故WiFiもあることになっていてスマホの充電が減らないようになっているのだろう。自称神さまがいることと比べると小さなことなのだがかなり疑問だ。
そう考えてはいても早くお風呂を済ませてしまわないとくノ一教室の子達が来てしまうので授業中の廊下を小走りで走り抜けた。

ばさっと音を立てて身に纏っていた衣服が落ちる。衣服を適当に畳んでお風呂に入ると3人の少女がいた。彼女達は入ってきた私に目線を向けたかと思うとすぐに目線を逸らしてしまう。

「……失礼します」

何も言わずに入るのは失礼なのではないか、と勝手に思ってしまったので一言声をかけると彼女たちは驚いたような声を漏らした。
身体を洗ってすぐに浴室から出ようとすると「待って」と声をかけられる。
振り向くと彼女たちは私を呼び止める気はなかったらしく、戸惑っていた。そうして少しだけ間を空けて彼女たちは「もう少しゆっくりしていけば良い」と言う。私が首を振ると彼女達の１人がそう、と言って黙ってしまった。

「すみません、気を遣ってもらって」
「……え」

謝ると彼女たちはまた驚いたといった顔をして私のことを見つめる。

「それでは」
「……あ、あのっっ」
「どうかしましたか」
「………あの、また明日っ！」

今度はこちらが驚く番らしい。この世界にトリップとやらをしてから。殺気やら敵意やら物騒なものをことごとく向けらた記憶は新しい。天女、はでかりぼんと渾名のようなもので呼ばれて、にこにこと近づいてきたと思えば、罠だの恋に走らせて思い通りにさせようだの人間の闇の見過ぎで正直参ってしまっていた。この精神状態ではこの子たちの言った言葉はかなり新鮮だった。
この言葉すらまともに受け取れない私はどうも人間不審を拗らせているらしい。

「また明日」

やっと返事を返してさっさと着替えを済ませて部屋に戻る。廊下を堂々と歩いて、途中で忍たまたちとすれ違っても何故か何も感じなかった。

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