何故か忍たま乱太郎の世界にトリップしたら天女になったみたいです４

会議へ ページ41

「……始める」

声が小さくて聞こえにくい筈の中在家くんの声が聞こえた。上級生たちが図書室に入ってくる。

「説明をしてくれないか。中在家図書委員会委員長」

通訳をしようとした不破くんに中在家くんは首を振った。周りの人間は驚いていたものの、声を出すことはない。多分声が小さい彼の話すことを聞き逃さないように気を使っているのだろう。


天から人が降ってくることがあるのだと男が話していた。
まるでこの学園に来る天女のようだと思った。それを指すのは次に続いた言葉で確信した。話に出てくる天女は学園に出る女と同じだ。
忍術学園では天女に関する情報は外に漏らさないようにしている。何故、空から降ってくる女の存在について知っているのか。
話によれば、天女の妖術にかけられた人間は記憶が曖昧になるらしい。甘い匂いがしたかと思うと、母親の腹の中にいた時の、安心した気持ちになると言う。
母親の腹の中にいた頃を未だに覚えている人は稀にいるらしい。その記憶を持った者が妖術にかかった時のことをそう言い表したことが書物に記されていた、と。


「その話と佐伯柳。何が関係があるんだ」
「最後まで聞け。小平太。急かしても混乱するだけだ」

立花くんは気難しそうな顔をして、中在家くんに迫る七松くんを止めた。
渋々七松くんは席について、滝夜叉丸は心配そうに彼を見つめている。


母の腹にいるような安心感。そこに目をつけたのがとある城主だった。


その城の名を出した時、彼らは騒ついた。
私には彼らが騒つく理由が分からなかった。

「だから、殺そうとしたのか」

その言葉に中在家くんは頷いた。
七松くんは中在家くんを見つめている。中在家くんは七松くんと目を合わせないようにしているのか、下を向いていた。

「聞きたくないこともあるだろ。別室に行くか？」

肩に手を置かれて、食満くんから声をかけられる。私が彼の方を見ると上級生は道を開けてくれようとした。

「私は全部、知りたいんです」

強がりなんだと思う。
一度言ってしまったからには後には引けない。でも、聞かなかったら後ろ向きに考え続けて、不安で仕方なくなる。

「お前は強いな」

食満くんは羨ましい、と付け足して、私を見た。
強いのも羨ましいのもこっちの方だ。
上級生たちは頷く。足を踏み出して、次々と出口を塞いでいった。もう逃げられない状況を作っている。彼らにその気はなくても、私にはそう見えた。

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