黒木庄左ヱ門と私 ページ18
「こんにちは」
「黒木庄左ヱ門くん、だよね」
「はい」
あまりにも真っ直ぐに見つめてくるものだからこちらが居心地が悪くなってしまう。自分から目を逸らすと彼は私に近づいて顔を覗き込んできた。
待って。近い近すぎる元の世界なら私が逮捕される。
「佐伯さんに伝えたいことがあってきました」
黒木くんは私の部屋の縁側に腰掛け、隣を叩く。そこに座ると彼は微笑んで私の手を握った。どうしてそんなことをするのか聞くと「伝えたいことがある」の一点張りで、だからといってすぐに何か話し出すわけでもない。
この子はもしかしたら上級生との関わりが薄れて寂しいのかもしれない。まだ子どもなのだから寂しいのは当然だろう。私居候だし、目いっぱい構って可愛がろう。
「あの」
暫しの沈黙の後に彼はいつもの調子で口を動かす。
「貴方が好きです」
風がそよそよ、私と彼の頬を撫でる。
彼を子どもだと考えていたから、てっきり「大きくなったらお母さんと結婚する！」といった類のものだと思い込もうとした。逮捕の２文字が頭に浮かぶ。
「好きなんです。冗談でも、嘘でも、なくて」
強く握った私の手にそっと口づける。控えめに触れた唇はすぐに離れていった。彼の言葉は本当に冗談でも嘘でもないらしい。
「たとえ僕たちが何も知らない貴方を恨んでいても、貴方は初めからありのままでした。……僕自身、あの時のことはどれだけ謝っても足りないと思っています」
彼は握っていた手を強く握る。痛くないようにと気遣う様子が見てとれて、返事をするように私も彼の手を握り返すと彼は耳の先を赤くして少しだけ早口になる。
「返事は良いです。伝えたかっただけなので」
私の手を離して縁側から立ち上がる。そして私の部屋から出て行く時に彼は振り返って言った。
「１番に先駆けたのは僕だったみたいですね」
彼は珍しく得意そうに笑う。それがお姉さんの初めての告白体験を奪ってする顔か。いい顔するね少年。
「僕以外を選ぶ時がきたなら、貴方のことを好きだと誰よりもはやく伝えに来た男がいたことを忘れないで下さい、ね」
襖にかけていた手を止めて座っている私に近づき、壊れ物を扱うように優しく抱きしめる。
「ありがとう。黒木くん」
「庄左ヱ門って呼んでください」
「……庄左ヱ門。ありがとう」
彼は身体を離して笑った。
「こちらこそ。貴方が僕の名前を呼ぶ。……それだけで僕は救われますから」
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みこち(プロフ) - 小説にも書いてますが、義丸が特に押しキャラです。真面目な話もありますので、お楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年9月20日 6時) (
レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 本当に嬉しいご返事感謝します。幾つかありますが、その中に、兵庫水軍を出している奴が二つ程あります。彼らは余り詳しく無いんですが、YouTuberで彼等を見てたらドはまりしてしまって。乱太郎達と一緒に海で戦う姿は特に好きです。 (2019年9月20日 6時) (レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
さえきやなぎ(プロフ) - みこちさん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません。処女作であり、まだまだ不出来なこの小説を真剣に読んで下さり、とても有り難いことでもあり嬉しいです^ ^みこちさんも小説をお書きになっていらっしゃるとのことですのでお言葉に甘えてお尋ねします(*^^*) (2019年9月20日 0時) (レス) id: d037e4ab14 (このIDを非表示/違反報告)
さえきやなぎ(プロフ) - みこちさん» みこちさん、コメントありがとうございます！前にもたくさんのご質問ありがとうございました。申し訳ございませんがその話が出てくるのはもう少し先の話になりますので待っていただけると幸いです。更新がとても遅く、ご迷惑をおかけします。 (2019年9月20日 0時) (レス) id: d037e4ab14 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - お久しぶりです。更新楽しみにしています。私も、忍たま小説書いてます。よろしければ、お訪ね下さい。前にお聞きしましたが、学園の皆は、きり丸が夢主を無実だと言っているのはいつの場面ですか？できれば知りたいです。 (2019年8月26日 15時) (レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さえき | 作成日時：2018年7月29日 3時
