尾浜勘右ヱ門と私 ページ15
「いいですね。佐伯さんは」
いきなり押しかけてきたかと思えばはじめの言葉がそれか。可愛らしくにこりと笑ってはいるものの、信用していいのかと疑問符が頭の中を回る。
この尾浜勘右ヱ門という男。大量の団子を抱えてきて部屋の前から動こうとしないので仕方なく部屋に招いたというのに。
「ごめん。失礼なこといった」
「まったくです」
「大丈夫ですよ、とか返されると思ってたから驚いたよ」
「だって失礼じゃないですか」
「言うねえ。良い意味で不思議な人だ」
良い意味でとは。どうも素直に褒め言葉として受け取れない。
彼は爽やかに笑っているものの本当の顔は分からない。
「すいませんでした」
笑っていたかと思えば床に手をついて頭までつけようとしている。つまり、土下座。
この状況を見られたら絶対勘違いされる。塵レベルの信頼がパァだ。
「何に対する謝罪ですか」
「君のこと、天女だって決めつけて傷つけたこと」
それか。初めから怒っていないと言えば彼は驚き、俯いたまま「ふうん」と答えた。何かを考えているように言うので「何か？」と返すと何でもないと返される。何を考えているのか分からなくて顔を覗き込むと彼は観念したように口を開いた。
「この学園のみんなは罪を抱えている」
笑う彼は私の髪の毛に口づける。その唇はつり上がっていて、仕草の一つ一つがわざとらしい。
「佐伯さんはいいですね。貴方だけがこの学園で何も罪を犯していないんです」
彼の中では天女騒ぎは自分含むみんなが起こしたものという認識なのだ。そんな考え方は頭にもなかった。
「罪を認めて自分を責めすぎる者。罪を見ないようにと顔を背ける者。罪を起こしたことを自覚していない者。罪を隠し、嫌悪感に悩まされる者。」
彼はこんなに辛そうな顔をする人だっただろうか、と疑問に思ったところでふと気がつく。初め、本当に初めて会った時、私は彼のこの表情を見たことがある。私の手を握ったあの時、確かに彼は苦しくてたまらないといった表情をしたのだ。
「俺は八つ当たりだって分かっていても貴方のことを恨むしかないんです」
それが貴方の心の支えなら。此処に送られた時から支えるしかないと決まっている。
「私を恨んでも良いんです。そんなものなんです」
そう言うと彼はまた自嘲的に笑う。
「ばかだろ」
彼の目には涙が溜まっていて、無言で私の部屋から出て行った。
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みこち(プロフ) - 小説にも書いてますが、義丸が特に押しキャラです。真面目な話もありますので、お楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年9月20日 6時) (
レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 本当に嬉しいご返事感謝します。幾つかありますが、その中に、兵庫水軍を出している奴が二つ程あります。彼らは余り詳しく無いんですが、YouTuberで彼等を見てたらドはまりしてしまって。乱太郎達と一緒に海で戦う姿は特に好きです。 (2019年9月20日 6時) (レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
さえきやなぎ(プロフ) - みこちさん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません。処女作であり、まだまだ不出来なこの小説を真剣に読んで下さり、とても有り難いことでもあり嬉しいです^ ^みこちさんも小説をお書きになっていらっしゃるとのことですのでお言葉に甘えてお尋ねします(*^^*) (2019年9月20日 0時) (レス) id: d037e4ab14 (このIDを非表示/違反報告)
さえきやなぎ(プロフ) - みこちさん» みこちさん、コメントありがとうございます！前にもたくさんのご質問ありがとうございました。申し訳ございませんがその話が出てくるのはもう少し先の話になりますので待っていただけると幸いです。更新がとても遅く、ご迷惑をおかけします。 (2019年9月20日 0時) (レス) id: d037e4ab14 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - お久しぶりです。更新楽しみにしています。私も、忍たま小説書いてます。よろしければ、お訪ね下さい。前にお聞きしましたが、学園の皆は、きり丸が夢主を無実だと言っているのはいつの場面ですか？できれば知りたいです。 (2019年8月26日 15時) (レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さえき | 作成日時：2018年7月29日 3時
