斉藤タカ丸と私 ページ11
忍術学園の居候と化して、自分もその生活に慣れ始めて生活リズムが崩れてきた。人があまり通らない時間帯も生活をしているともう分かってしまったので、ご飯を食べる時間も早朝だったり、何食か抜いてしまったりとこのままではいけないと思ってはいる。でも、そんな生活にも慣れてずぶずぶと沼にはまっていくように駄目になっているのを感じていた。
だから何度も襖を叩かれていたことにも気がつかなかった。
「柳ちゃん!!!」
早朝。いきなりのこと。大きな音を立てて襖が開く音がした。今日の私は上瞼と下瞼がなんとまあ仲良しなことでこのまま放っておいたなら昼近くまで眠っていたことだろう。勿論私は大声を聞くまでは寝入っていたわけで……。
訳もわからず飛び起きると斉藤タカ丸が立っていた。
「ごめんなさい!」
そんなに勢いよく腰を曲げて痛くないのか。もっと別のことを考えるべきだと分かってはいた。
でもいきなり自室に乗り込んでくるという状況。分からん。現実逃避するしかない。
自分から何かしら行動を起こさなければ何かが起きないとずっと思っていたのに勝手に物語が進んでいったら誰だって驚く。
「許されるなんて思ってない!でもお願いします!!!髪の毛を元通りにさせて下さい!」
ほら、また驚くことを言う。
こちとら寝起きだ。こちらからもお願いです。身支度をさせて下さい。
いきなりのことに嫌々ながら頷くと彼は私の格好なんてなんのその。すぐに彼の仕事部屋へと早変わり。寝起きのまま変わらず寝間着のままの私はどうしたらいいのかと思っていたが、着替えたら教えてと声をかけられて出て行ってしまった。
そういえばこの人はこういう人だった。のほほんとしているようで周りを見ていて気を遣ったり、喧嘩の仲裁をしていたり、人を喜ばせることが得意な人。
小さく襖を叩くと彼がやってくる。
「僕は君の髪の毛を切った」
「たったのひとつまみです」
「それでも切ったんだ」
その声は酷く自分を責め立てているようだった。そう思ってほしいわけじゃないのに。
「何で私の髪の毛にこだわるんですか」
「だって僕は中途半端だったから」
彼は泣きそうな笑顔でそう答えた。「貴方は悪くない」と言えたならどれだけ楽だろう。でも彼は確かに一時的には悪だったのだ。
「昔噺をさせてほしい」
「私も、貴方たちのことが知りたいです」
「ありがとう」
斉藤タカ丸は私の手を握った。
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みこち(プロフ) - 小説にも書いてますが、義丸が特に押しキャラです。真面目な話もありますので、お楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年9月20日 6時) (レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 本当に嬉しいご返事感謝します。幾つかありますが、その中に、兵庫水軍を出している奴が二つ程あります。彼らは余り詳しく無いんですが、YouTuberで彼等を見てたらドはまりしてしまって。乱太郎達と一緒に海で戦う姿は特に好きです。 (2019年9月20日 6時) (レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
さえきやなぎ(プロフ) - みこちさん» 返信が遅くなってしまい、申し訳ございません。処女作であり、まだまだ不出来なこの小説を真剣に読んで下さり、とても有り難いことでもあり嬉しいです^ ^みこちさんも小説をお書きになっていらっしゃるとのことですのでお言葉に甘えてお尋ねします(*^^*) (2019年9月20日 0時) (レス) id: d037e4ab14 (このIDを非表示/違反報告)
さえきやなぎ(プロフ) - みこちさん» みこちさん、コメントありがとうございます!前にもたくさんのご質問ありがとうございました。申し訳ございませんがその話が出てくるのはもう少し先の話になりますので待っていただけると幸いです。更新がとても遅く、ご迷惑をおかけします。 (2019年9月20日 0時) (レス) id: d037e4ab14 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - お久しぶりです。更新楽しみにしています。私も、忍たま小説書いてます。よろしければ、お訪ね下さい。前にお聞きしましたが、学園の皆は、きり丸が夢主を無実だと言っているのはいつの場面ですか?できれば知りたいです。 (2019年8月26日 15時) (レス) id: 3f5bca2fa0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さえき | 作成日時:2018年7月29日 3時