君にみえるもの [８]

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その日の夜


市に許可を得て
スーツケースが発見されたビルに
再調査へ向かったのだが...



貴｢ちょ､手離さないでね!｣

ミ｢分かったから...そんなに怖いなら1回帰る?｣

貴｢やだ!!｣

ミ｢そういう変に頑固なとこ､中堂さんにそっくり(笑)｣

貴｢...自分に出来ることしたいだけ｡｣

ミ｢そういう素直じゃない所もそっくり｣



階段を上り部屋に入ると
誰もいないはずなのに小さな明かりが目に入る｡

ドンｯと音がしてミコトが押さえつけられたのを
見たあとその反動でバランスを崩し
床に向かって倒れ込みそうになり目をつぶる｡



中｢ったく...｣



何かに掴まれそのまま引き上げられると
腕を引かれ声の主に倒れ込む｡



中｢何してる｣

ミ｢こっちの台詞ですよ｡
無関係の人だったら大事ですよ｡｣

中｢無関係な奴が､こんな時間に こんな所に来るか
...大丈夫か？｣


上から顔を除き込まれて､初めて彼の顔を確認すると
緊張が解けて足に力が入らなくなる｡


中｢おいｯ!...ったく､ちゃんと立て｣

貴｢ビックリしたぁ...｣


その間にもミコトは荷物を置き
明かりをつけて準備を進めていた｡


中｢おい､つけるな!外にバレる｣

ミ｢ちゃんと西武蔵野市の許可は取ってあります｡｣


彼は決まり悪そうな顔をしながらも
すぐに部屋に目を移し､調査を始めた｡

私が暗いのが苦手な事を知っている彼は
ずっと手を繋いでくれている｡


貴｢系くん､明かりついてるから大丈夫だよ？｣

中｢いや､どこか行かれても困る｣

貴｢どこにも行かないよ...(笑)｣


と言いながらも彼の優しさに甘えて
繋いだ手はそのままに作業を進めた｡

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