君にみえるもの [８]

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六ちゃんは絵を貰ったという人物に
電話を繋いでくれた｡


近くにいても流石に電話の音までは聞こえてこない｡
不安になりながらも電話が終わるのを待っていると...


中｢久部が会ったことがある...挺日大のICUで...｣




六｢挺日大...

...高瀬｣



火災が起きたビルの隣のビルの管理人であり
今回の火災の唯一の生存者だった｡


中｢高瀬...｣


それだけ呟くと
何かを思い出したように彼は走り出した｡


貴｢待ってｯ!!｣



彼の背中を追いかけようとした瞬間
足元に力が入らなくなり
地面が近づいて来た｡


最近の睡眠不足なのか...

“独りで行かない”って約束したのに...

夕子の私を呼びかける声と
系くんを追いかける六ちゃんの背中を
最後に私の意識は闇に飲み込まれた｡



⋆ ･⋆ ･⋆ ･⋆

夕子Side



中堂さんが走り出して
それを追いかけようとしたAがいきなり倒れた｡


夕｢ちょっと!A!?｣


六郎はそのまま中堂さん追いかけちゃうし
ミコトも神倉さんも居ないし...


とりあえずAをソファに寝かせた時
ミコトから連絡が入った｡


ミ｢中堂さんは!!?｣

夕｢どっか行っちゃった!!
六郎が今 追いかけてる！｣

ミ｢遅かったか...
Aは？｣

夕｢それが､中堂さん追いかけようとしてたら
倒れちゃったの!!｣


ミ｢え！！とりあえず東海林はAをお願いね！｣



それだけ言い残して
プツリと電話は切れてしまった｡


寝ているAに目をやると
寝ているのに泣きそうな顔をしていて
見てるこっちが辛くなる｡


夕｢早くいつもみたいに笑ってよ...｣


私の独り言は誰もいない部屋に悲しく響いた｡

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