君にみえるもの [８]

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翌日



貴｢おはようミコト!蟻の種類分かったって｣

ミ｢おはよ､それがね...
クロナガアリって言って蟻酸を出さない蟻だった｡｣


ミコトの方へ近づくと
ホワイトボードと睨めっこする
中堂さんの姿もあった｡


ミ｢蟻酸を出さない蟻から
なぜ蟻酸が検出されたのか...｣


中｢蟻酸の化学式は[CH2O2]
示性式は[HCOOH]

発生条件はメタノールと一酸化炭素
水酸化ナトリウムと一酸化炭素｣


彼はそう呟きながら
ホワイトボードに化学式を並べていく｡


貴｢でもあの場所にあるのって､水と空気くらい...｣

中｢単純な酸化だとしたら...｣


酸化のことを考え
1つのOを消すとそこに見えたのは
[HCOH]
つまり化学式に直すと[CH2O]


ミ｢ホルムアルデヒド!｣

貴｢水に溶けるとホルマリンだね...｣



善は急げ｡

そのまま解剖室に向かい
橘さんのご遺体を再解剖することになった｡


⋆ ･⋆ ･⋆ ･⋆


準備を済ませ､解剖室に入って
橘さんのご遺体を冷蔵している保管場所から
取り出していると所長達が駆け込んできた｡


夕｢再解剖ってどういうこと?｣

神｢保存してある臓器じゃダメなの？｣

貴｢それがダメなんですよ｡全部ホルマリン漬けだから｣

夕｢え､当たり前じゃん...｣


袋から顔を覗かせた橘さんのご遺体は
不思議なほど綺麗なままだった｡

中｢今から検出するのはホルマリンだ｡｣


検査結果が出るまでそう長く時間はかからなかった｡

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