君にみえるもの [６]

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夕｢あぁ〜､疲れた｡｣


その日の解剖を終わらせデスクへ戻ると
毎日お決まりのかりんとうが配られる｡



夕｢所長〜!なんか他に甘いものないんですかー？
毎日､かりんとうばっかり｣

神｢東海林さんが 解剖の後は甘いものがいいから
かりんとうを常備しとけって...｣


その言葉の通りラボの一角には
山積みのかりんとうのダンボールが置かれている｡


貴｢2人ともチョコいる？｣


いつもバックに常備してあるチョコを取り出すと
2人は目を輝かせてそれを受け取った｡


ミ｢所長､これ配りましょ､
遠隔死亡診断のガイドライン｣

神｢お願いします｡｣


そう言ってミコトから渡された資料は
厚労省の指導で 新しく始まる計画の内容｡

離島や過疎地などの遺体を
テレビ電話を使い 解剖医が遠隔で死因判断するというものだった｡


六｢あの､これ映像だけで 死因なんて分かるんですか?｣

中｢分かるか､｣


そのまま彼は所長の言葉を耳にせず
資料をゴミ箱に捨てて 席を立った｡


貴｢まったく...｣


後ろで 所長と夕子がわちゃわちゃしているのを
微笑ましく眺めていると
スマホに連絡を知らせる通知が入った｡

連絡主はミコトの弟君だった｡



貴｢もしもし､どうしたの?｣

秋《いきなりすいません！姉に繋がらなくて...》

貴｢ん？ここにいるけど､変わる？｣

秋《あ､いや､Aさんにもお伝えしたかったので!》



秋彦くん...秋ちゃんから聞いたのは
彼の務める予備校の生徒 白井くんが
ミコトが法医解剖医と知り､会いたいと言ってきたらしい｡


そこで､臨時検査技師の資格も持ち合わせる
私にも来て欲しいと 秋ちゃんからお願いされたのだ｡


ミコトにその事を伝え､
仕事終わりに秋ちゃんの務める予備校に向かった｡

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