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その日は確か台風が通過している最中の夜中だったかな
電車がなかなか来ず
会社からやっとの事帰宅し、荷物を放けてベッドへ一直線にダイブ。
お風呂に入るにも面倒くさくて、ついでに酷い眠気にも襲われたので重い重い瞼を閉じる。
その瞬間に家のインターホンが鳴った。
こんな時間に誰だろうか。
考えようとはしたものの、頭が働かない。
ふらつく身体を無理やり起こし、玄関へ足を運んだ
そしてドアを開ける
「__っ」
目の前にいる人物に戸惑った。
その人は数ヶ月姿を見せなかった彼氏
幻覚なのではと疑うも、どうもこれは事実らしい
零は『会いたかった』と、そう呟いた
会いたかった?
うん、私も。
でも連絡も何も寄越さなかったのは貴方でしょ?
どっと溢れる疲れのせいか、イライラし始めた
いったい何日待たされただろう
毎日毎日帰りを待っていたのに、朝になっても帰ってこない
やっと帰ってきたかと思ったら、朝には居なくなって。
「……ごめん零、私今あなたの顔を見たくない。」
「…!!話を聞いてくれA!」
「話?言い訳の事?……いいよそういうの。わかってるから。」
あぁだめだ
「違う、俺自身の話だ!」
心がザワつく
「…今度聞く」
風がうるさい
「ダメだ、今じゃないと間に合わない」
勝手な妄想なんかして
「間に合わない?何に?仕事?それとも新しい彼女か何かとの約束?」
「A……!!」
「____そんなに大事な人がいるなら、
無理して会いに来なくていいよ。」
そのままドアを思い切り閉めた。
怒り任せに出た言葉が、ドアを閉めた瞬間自分自身に降り掛かって、なんて自分勝手な事を言ってしまったんだと後悔する
すぐさま謝ろうと再びドアを開ける
……零はもう、いなかった。
サァァッと血の気が引いて私は玄関を飛び出し、強風と豪雨の中街中を走り回った
「っ、れ、い…どこ……!!?」
零、びしょびしょだった。体を暖めないと風邪ひいちゃう
おかえりなさいってちゃんと言わなきゃ
そしたら頭をタオルでおもいっきり拭いてあげるの
珈琲、上手く淹れられるようになったよ
ねぇ零
私ずっと、あなたに会いたかった__
「__ばか…っ」
零と私に向けて放った罵声は、虚しくも誰の耳にも入らず強風に掻き消される
もう二度とあなたに会えない
そんな気がして、私は走るのを止められなかった。
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ちゅんちゅん丸(プロフ) - 和美/美香さん» 佐藤さん幸せになれるといいですなぁ…… (2018年11月2日 21時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
和美/美香 - そうですね。やっぱり辛いですね。 (2018年10月22日 16時) (レス) id: 1f2c06e01c (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゅん丸(プロフ) - 茜さん» なんとも嬉しいコメントありがとうございます!!!少しずつ更新頑張りますね! (2018年10月17日 15時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゅん丸(プロフ) - 和美/美香さん» 過去と今じゃ全然環境が違いますしね……(´ω` (2018年10月17日 15時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 切ないっ…こんなに心締め付けられる小説は初めてです。夢主ちゃんの気持ちに入り込んでしまって泣きました。とても面白いです!更新楽しみにしてます! (2018年10月15日 18時) (レス) id: 40d28784a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅんちゅん丸 | 作成日時:2018年7月7日 20時