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「お待たせ致しました、どうぞ〜」
観覧車に乗る順番が回ってきた
止まることなくゆっくりと進むゴンドラに先に乗り込んだのは降谷で、繋がれたままの手を優しく引かれる。
すぐにドアは閉められた
降谷と密室で二人きりの状況が完成された訳で、私の脳内は見事なまでに降谷零という存在に侵されていた。
向かい側に座る男に不覚にも胸が苦しくなる
こんな事絶対に有り得ないと思っていたのになぁ
「あのさ、昨日の……勝手にキスした事、本当にごめん」
気を紛らわす為に必死に外を眺めていたのだが、口を開いた降谷零の言葉によって私の瞳は彼をしっかりと映す
「__いつから、私の事…見ててくれたの?」
狭い室内だから、自分の声がハッキリと反響する。
だからこの男の言葉も私の耳にしっかりと響くのだ
「自覚したのは小学5年生の時だけど、気になり始めたのは3年生の頃かな」
「そ、そんなに前から…っ?!」
「あぁ。あの時は必死にAを追い掛けてたな。」
「恐怖の対象でした」
「う゛…ごめん、」
それから降谷零は、私に対する想いや感情、当時の心境や経緯を事細かに説明してくれた。
昔しつこく付きまとって来た理由、中学の時いっさい話しかけなくなった理由、高校も一緒になった理由、全部を。
ゴンドラが頂点に上がってくにつれ、私の中で降谷零の存在はますます大きく膨れ上がっていった。
ずっと、地味で目立たなくて暗い私なんかに何故構うんだろうと不思議に思っていた疑問も、薄く消えて行く
「昨日の夕方、ヒロに激励されたんだ。早く告白しろって。それで教室で寝ながらどうしようかと悩んでた時にAが来たから、その…勢いでしてしまったという訳なんだ」
「_そうだったんだね……」
「でもあんなのは告白と言えない。だから…
もう一度やり直させて欲しい!!」
声を荒げて、降谷零は私の手を取りそれはそれは顔を真っ赤に染め上げて言った
「好きだ!!Aが……佐藤Aの事ずっとずっと好きでした!!付き合ってください!!!」
___あーあ、
あんなに怖かった人が、私の事ずっと好きだったなんて。
そんな人に少しずつ惹かれていた私もいるだなんて。
昔の私は1μmも想像して無さそうだ…。
「はい、喜んで……っ!」
「___っ!!」
降谷零は目をまん丸にして見開いた後、スーッと1粒の涙を流した
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ちゅんちゅん丸(プロフ) - 和美/美香さん» 佐藤さん幸せになれるといいですなぁ…… (2018年11月2日 21時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
和美/美香 - そうですね。やっぱり辛いですね。 (2018年10月22日 16時) (レス) id: 1f2c06e01c (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゅん丸(プロフ) - 茜さん» なんとも嬉しいコメントありがとうございます!!!少しずつ更新頑張りますね! (2018年10月17日 15時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゅん丸(プロフ) - 和美/美香さん» 過去と今じゃ全然環境が違いますしね……(´ω` (2018年10月17日 15時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 切ないっ…こんなに心締め付けられる小説は初めてです。夢主ちゃんの気持ちに入り込んでしまって泣きました。とても面白いです!更新楽しみにしてます! (2018年10月15日 18時) (レス) id: 40d28784a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅんちゅん丸 | 作成日時:2018年7月7日 20時