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おかしいでしょ
いや、誰がどう見てもおかしいでしょこの状況
幽霊と同居なんてさ
ただのいわく付き物件じゃんこれ
『A、お湯が溢れる』
「ぬぉっ!?」
慌ててポットを止めて溢れそうになる珈琲を啜る。
うん、味が薄い。
『Aって珈琲飲む人だったか?』
「んー?いや、あんまり好きじゃなかったけど…でも最近は毎日飲んでる」
『なるほど』
「いえあ。…てか、なんで筆談なの?」
『普通に声が届かないからだ』
「へー、幽霊の声って生きてる人の耳に届かないんだ」
いちいちペンを持って書くの大変そうだ
私なら3行書いたら手が痺れるな…
それにしても、生きているものに触れられなくて、生きていないものには触れられるって事は
世にいうポルターガイストなるものも、やはり幽霊の仕業で正解ってことになるのか。
「……寂しいね」
世の中の霊が誰かに気づいて欲しくてポルターガイストを起こしているって言うのなら、怖がられ煙たがられる霊に少し同情してしまう。
『俺はAが気づいてくれたから、寂しくない』
「__ばーか。死んでからそーゆーこと言ったって意味無いんですー」
『…それもそうだな』
零はそう書き残して、どこかへ消えていった。
本庁にでも出掛けたのかな
風見さんの顔でも見に行ったんだろうな
…あー、だめだ
つい癖で零が居なくなると人肌が恋しくなってしまう
だいぶ前から慣れてたはずなのに、零が死んでから余計に酷くなった
ピリリリリ
タイミングよく、遊び相手から電話が掛かってきた
少し間を開けて、通話ボタンを押す
「…もしもしー?」
『Aさぁ、今日は遊ぶ約束してたのに忘れてるだろ』
「あ、ごめんごめん!昨日飲み過ぎて寝坊しちゃってさぁ」
『ったくしょーがねぇな、早く準備して来いよ』
「はーいかしこまりー!」
通話を切って、ぶらんと携帯を持っていた手を下げる
…別に行ってもいいよね?
零だってもう、生きていないんだし
それにもう零の死に、ケリはつけたんだもの。
今更罪悪感なんて抱かなくてもいいんだ。
「ごめん、零」
その言葉は静かに私の体中に響いていった。
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ちゅんちゅん丸(プロフ) - 和美/美香さん» 佐藤さん幸せになれるといいですなぁ…… (2018年11月2日 21時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
和美/美香 - そうですね。やっぱり辛いですね。 (2018年10月22日 16時) (レス) id: 1f2c06e01c (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゅん丸(プロフ) - 茜さん» なんとも嬉しいコメントありがとうございます!!!少しずつ更新頑張りますね! (2018年10月17日 15時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゅん丸(プロフ) - 和美/美香さん» 過去と今じゃ全然環境が違いますしね……(´ω` (2018年10月17日 15時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 切ないっ…こんなに心締め付けられる小説は初めてです。夢主ちゃんの気持ちに入り込んでしまって泣きました。とても面白いです!更新楽しみにしてます! (2018年10月15日 18時) (レス) id: 40d28784a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゅんちゅん丸 | 作成日時:2018年7月7日 20時