１６ ページ18
ありがとう、そう言わなければと心で思っても体は上手く動いてくれない。
頑張って口を開け言葉に出そうと1文字目の「あ」を発音したとき
「んにぃっ！？」
「あと1秒遅かったらおまえ、死んでたぞ」
ブニ、と頬を横に両手でぐいぐい引っ張られる
いふぁいよ、とやめて欲しいことを懇願するも、『やだ！』と強く言い返される始末だ。
「こんな痛みで済むんだから我慢！」
「ええぇぇぇ…」
散々引っ張られ漸く手を離したと思ったらぺちっとデコピンもくらった。
一体この人は何がしたいんだろうと困惑するも、助けて貰った事実に変わりない。
早くお礼を言わなければ
「あ、あの…っ！！…たすけ、てくれて…ありがとう…。」
声が小さい自分に嫌気がさした。
こんな時くらい堂々としなくちゃいけないのに…
「どういたしまして！」
そんなモヤモヤした気持ちは彼の笑顔を見てスカッと晴れてしまった
よくみたら、身体中怪我をしているではないか
もしかしたら私を引っ張ったときに大きく転んだんじゃ……
「あの！！膝、怪我してる…！」
「ん？あ、これはさっき喧嘩した時に出来たやつだから佐藤が気にする事はないよ」
「絆創膏…持ってるから、使って！」
「ありがとう。でも後で手当てして貰うから大丈夫。」
そう言ってポケットから出した絆創膏を握った手を押し戻された
でも、お礼として何かしなくちゃ。
例え彼が遠慮しても私が許さないもん。
「じゃあ！何か、して欲しいこととか…ない、かな…？」
彼の手を掴み、じっと目を見つめる
すると彼は顔を逸らして『……佐藤と、ちゃんと話してみたい』と小さな声で囁いた。
＿＿＿そんな事でいいのかな？？
命を助けて貰った恩人が要求してきた内容があまりにも突飛で、あまり納得出来なかったけど本人がそう言うのなら…
「わ、わかったよ！じゃ、お話たくさん、しよ…！」
「…！！うん！」
彼に手を引かれ近くの公園のベンチに連れられる。
そこに座る途端、彼は少し離れたところにあるブランコをじーーっと見つめた。
そんな彼の横顔を見ていたらある事を思い出した
あれ？
そう言えば
どうして私の苗字…知ってるんだろう…
「ねぇ、私のこと…知ってるの？」
そう聞くと
「え゛。だって、同じ小学校じゃん」
と思わぬ返答が。
「＿＿ええぇぇぇっ、？」
今思えば、こんなに目立つ容姿をしている彼の存在を知らなかった要因は、毎日下ばかり見ているせいだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 289人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちゅんちゅん丸(プロフ) - 和美/美香さん» 佐藤さん幸せになれるといいですなぁ…… (2018年11月2日 21時) (
レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
和美/美香 - そうですね。やっぱり辛いですね。 (2018年10月22日 16時) (レス) id: 1f2c06e01c (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゅん丸(プロフ) - 茜さん» なんとも嬉しいコメントありがとうございます！！！少しずつ更新頑張りますね！ (2018年10月17日 15時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅんちゅん丸(プロフ) - 和美/美香さん» 過去と今じゃ全然環境が違いますしね……(´ω｀ (2018年10月17日 15時) (レス) id: 9003ee59c3 (このIDを非表示/違反報告)
茜(プロフ) - 切ないっ…こんなに心締め付けられる小説は初めてです。夢主ちゃんの気持ちに入り込んでしまって泣きました。とても面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年10月15日 18時) (レス) id: 40d28784a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゅんちゅん丸 | 作成日時：2018年7月7日 20時
