初恋は叶わないらしい (ページ19)

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またページ19

授業が終わりまだ時間があるみたいやったから、学校の図書室で時間を潰すことにした。

“今電車乗ったわ”

ブブッと揺れるスマホに表示されたのは崇裕くんからのメッセージ。

私がひとりでお店に行けへんと望に駄々をこねたら、じゃあ崇兄と行き、と間をとってくれた。

妹好きな兄のほんの気遣いらしい。

今はそれが少し痛い。

私の学校の最寄りの駅のホームで待ち合わせをしている。

そろそろ行こかな、と下駄箱へ向かった。

｢おぉ〜！A今帰りなん？｣

｢あ、しげ｣

｢お前間抜けな顔なにそれ！！“あ、しげ”って！｣

しげは毎度ブサイクなモノマネをしてくる。

｢似てへんで｣

あしらうように返事すると毎度毎度冷たいなぁ！と独特な笑い方をする。

｢なぁ一緒に帰ろ｣

｢あぁごめん。今日方向違うから｣

｢そーか。ほな気をつけて帰れよ｣

ウザ絡みはしつこいが、誘いや追求はしつこくない彼は一緒におって楽やなと思う。

だから私たちは一緒におることが多い。

じゃーな、と右手をあげるしげに

また明日、と手を振った。

駅の改札を抜けホームに行くと、まだ崇裕くんは来てなかった。

一応着いたことだけ報告しておく。

1本電車が通り過ぎ、しばらくすると電車が到着した。

プシューと力の抜けるような音を立てて、扉が開く。

まだか、とスマホに目線を落とすと

トントンと肩を叩かれる。

｢ひさしぶり｣

スーツ姿の崇裕くんがおった。

なるべく“普通”を意識して｢ひさしぶり！｣と返事をする。

すると崇裕くんの手が私の頭に伸びてきて、わしゃわしゃぁと頭を撫でた。

やっぱりこれは気持ちよくて目を細めてしまう。

｢んふ、やっぱのんすけに似てきとるで｣
とにっこりして先を歩いていった。