予約客優先 ページ14
お昼を済ませてショッピングモールを出た。なんせ田舎のショッピングモールやから、見回るお店も特にない。
家に帰るとみんなはお昼ご飯を食べていた。
崇裕くんはおじいちゃんにビール注ぐわ！と大人の輪に入っていった。
．
｢おーい｣
｢んっ｣
重たい瞼を開けると目の前に崇裕くんがおった。
｢あ、れ｣
｢どしたん、寝よったで｣
と笑い声混じりに優しく教えてくれる。
｢え、ずっと起こしてくれてた？｣
｢んーん、さっき声かけたばっかやで。｣
｢あ、そっか。ありがとう｣
｢なんかあるんやったら準備してき。もうお祭行くで｣
割と長い間私は寝ていたらしい。
もう夕方になってた。
さっき崇裕くん紫の鷲のTシャツ着てたな、と思い出して私も買ってもらったものに袖を通す。
｢ん、おそろいやん｣
気付いてくれるんや。
｢ほなおとんまた車借りるわぁ。いってきます〜｣
｢いってきまーす｣
いってらっしゃいという声で送り出してくれるみんな。
酔っ払っててもそこはしっかり返してくれるらしい。
お祭の会場に行くには途中まで車で行かないと行けへん。
｢あれ、崇裕くん飲んでないん？運転大丈夫なん？｣
｢飲むわけないやんかぁ！先約のAがおんのにぃ｣
｢それはどうもありがとうございます｣
照れ隠しに言った言葉たちに、なんでそんな急にかしこまんねん！ってつっこむ崇裕くん。
やっぱり好きやなぁ。
そんな横顔を見て改めて思わされる。
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作者名：ころ | 作成日時：2020年8月8日 23時
