駄菓子が30と9つ ページ40
あちぃー
そう声に出せたらどんなに楽だろうか。
暑いって口に出すと余計に暑くなるという、都市伝説(？)のせいで、もー、
あつがなつい。
Tシャツの首もとをパタパタと扇ぎながら、冷たい壁に寄り掛かる。
手元には、スマートフォンととある紙切れ。
中三の高校受験が合格した頃、母と兼用でスマートフォンを買ってもらった。
ガラケー所持の母とスマホがなんとなく欲しい僕。意見の一致と僕の合格祝みたいな感じで、ついにスマホを買い、時代にやっと追い付いたのだ。
１年経って使い慣れてきたスマホを、意味もなく触りながら、紙切れを眺めた。
未だに大切に保管していた僕の滑稽さに笑ってしまいそうだ。
紙切れには、『滝谷一郎』と電話番号、メールアドレスが殴り書きされてあった。殴り書きといっても、全然読めないようなやつじゃなくって、達筆なやつ。
これに書かれたものをまだこの携帯に登録していない。
登録したいけど、なんか怖くてできない。
ぐるぐると考え続けて、夏休みの一週間をだらだらと過ごしてしまった。
宿題？ なんのことやら。
ハハッ
「A、早く準備して！」
「はいはい。」
実は今年の夏休みは、島のばあちゃんちに二三日泊まる予定があったりなかったりする。
暑い中、あのあっつい車内で一時間過ごす地獄を想像するだけで寒気がしてきた。
しっかりクーラーは付けて下さい。
紙切れをまた大切に保管して、スマホをしまった。
宿題も一応持っていこう。
ブーブー、みたいな音が船から聞こえてくる。
船に乗ると憂鬱な気持ちになる。船酔い的な意味で。
めんどくさい。行きたくない。めんどくさい。
マイナスなことばかり考えていたせいで、背中が丸くなってくるのは仕方ないと思いたい。
一時間未満の長い長い船旅を終え、おえっとなりながら、島の地面に足をつけた。
「ほら、行くよ」
先々行く母さんに、よたよたと付いていく。
軟弱になったな、僕。
数年前だったら、しっかりとした足どりで走ってた。
「本当に来たのかい？」
これは、ばあちゃんの店に入って早々、ばあちゃんに言われた言葉だ。
母さん、実の母親に信じられてないって一体…
母さんは、ばあちゃんに挨拶もそこそこに、ズカズカと家の中に入っていった。
ばあちゃんも慣れたように後に続いた。
僕は外で、やけに静かな店内をぼーっと見ていた。
「Aくん…？」
これは、店にたまたま居合わせたお兄さん＿滝谷一郎さん＿の言葉だ。
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壱(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます(*^^*) (2019年11月2日 22時) (
レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 主人公の言葉に凄い笑いました笑笑 (2019年10月27日 8時) (レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 壱さん» 一人でテンション上がりまくってました!あと15ってショタじゃない気してきました... (2019年7月29日 11時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
壱(プロフ) - アリアさん» 気づいてしまいましたか…！(嬉)主人公がひっそりいました。 (2019年7月28日 19時) (レス) id: 16a8646f1c (このIDを非表示/違反報告)
アリア - 今気づいたけど設定2に[先輩を攻略するのは難しい]メンバーがいる!今ごろ気づいた! (2019年7月27日 10時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひぃ | 作成日時：2019年2月25日 21時
