黒鬼 (ページ36)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:59,272 hit

. ページ36

.

結局葬儀は

でっかいお寺で派手すぎない

お互いの要望を兼ね備えた葬儀をした

葬儀の後は誰が私を引き取るかで揉めている

『施設でいいです、もう、』

お互いのなすり合いで疲れた私はそう言うと

すごく嬉しそうな顔をする

おじいちゃんとおばあちゃん達。

父おじいちゃん「施設で沢山友達作れよ～！」

施設も決まってなくて

今その話をしたのに

もう赤の他人。

『ちょっと外出てきます。』

まだお寺には人がちらほらいて

お父さんたちの遺影の前で泣いてる人

懐かしの人達と会えて談笑してる人

そして、1人で手を合わせてる人。

手を合わせてる人の横に行き

声をかける

『お父さんかお母さんの友達ですか？』

「お父さんの昔からの友達なんだ、お母さんとも仲良くしててねAちゃんが生まれてからも何回か会ってたんだよ」

『そうなんですか？』

「そう。たまにお父さんと会ったりしてよくAちゃんのこと聞いてた。テストの点数が悪かった～とか最近このアイドルにハマってるらしいとか、すごく幸せそうだった。」

そういうおじさんの顔を見ると

優しい顔をしていた。

その姿がお父さんに見えてきて

涙が溢れ出てきそう。

「おじさんの胸へおいで」

遠慮がちに広げられた腕の中に

飛び込むと

頭を撫でてくれてる。

声を殺さず泣いた

周り関係なく泣いた。

おじさんの匂いは

お父さんと違って少し苦い匂い

だけどすごく安心する匂い

.