418話 ページ22
陽月side
マンダレイ「洸汰、いい加減に……！？」
洸汰君を止めようとするマンダレイさんを、人差し指を口に当てて止める
言わせてやれ
この子は、何より“理解”している
子供というものは、世の事柄を何より鋭く見抜くものだよ
そんな彼らが抱え込むものを吐き出させて、雪ぐのが私の仕事だ
『ヒーローが馬鹿、か……あながち間違っちゃいないね』
ピクシーボブ「え？」
相澤「………」
だってそうでしょう？
『皆“命”を軽視し過ぎてる。やれ死ねだの死にたいだの………みーんな馬鹿だよ
その最たるものがヒーローだ。死に急いでるにもほどがある』
命を軽々しく見て、「死ね」「殺す」「消えろ」
そんな言葉を、簡単に電波に乗せて流して……
それを、誰も疑問に思わないし、止めようとしない
洸汰「どんだけ体張ったって、結局死ぬ。全部全部、無駄じゃんか…」
『……そうかも知れないね』
確かに無駄かも知れない
限りある短い命を無駄に浪費しているも同然かもしれない
けど、それでも
私たちは追い求めずにはいられないんだ
自分の、何より大事な誰かの、暖かな未来
それを、願わずにはいられない
その未来のために、自分を消費出来てしまうのが、ヒーローという生き物なんだよ
な？どうしょうもなく、馬鹿で、愚かだろう
だからこそ、尊いんだよ
『どれだけ無駄な事だろうと、守りたいんだよ
人間、それくらい酷く愚かで、儚くて、愛せずにはいられないんだ』
きっと、何か意味があると信じて、ただただ、自分がどこを向いているとも知らずに進んでいく
愚かで、真っ直ぐな、醜いほどに美しいこの世界を生きる人という生き物
命に酷く愛されていて、それでいて嫌われている
優しい、とても残酷な生き物なんだ
いつか訪れる死を求めて生きていく
華々しく散るためではなく、物悲しく独り朽ちるためではなく
そう、ただ、後悔ばかりの広大な雪原の中に、一片の花弁を見て逝きたいだけなんだよ
だって、人生には後悔しか残らないんだから
どれだけ後悔しないために生きても、あらゆる全てが後悔に埋め尽くされる
人は、後悔と共に生きているんだ
だから、ね。最期の最期くらい、報われた証が欲しいのさ
ただ一つの、小さな花弁でいい
春を越せない代わりに、虚無のように白い空間に春暁の彩りを、せめて感じたいのさ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 219人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
仙花(プロフ) - 陽月ちゃん基準が…とっても面白いです！大変かとは思いますが無理をなさらぬ程度に頑張って下さい！ (2021年3月14日 14時) (
レス) id: 12da834449 (このIDを非表示/違反報告)
レイかっこよすぎ(プロフ) - 更新まだか？まだか？と、毎日楽しみにしています。これからも無理せず、更新していってください_(._.)_ (2021年2月1日 21時) (レス) id: c5dbc3e23a (このIDを非表示/違反報告)
ちかぱ - 更新待ってました!これからも楽しみにしています！ (2021年1月22日 1時) (レス) id: cdb9a35a2d (このIDを非表示/違反報告)
風人雷震 - ステイン……私と代われ！！陽月ちゃんの飯、私も食べたい！！(血涙 (2021年1月16日 19時) (レス) id: dfce7e3248 (このIDを非表示/違反報告)
碧蝶(プロフ) - 更新待ってました！！！これからも応援してます！ (2021年1月10日 10時) (レス) id: 81ff28993c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
