二十二夜 ページ22
先生たちに止められる佐伯を全員が呆然と見つめていた
落ち着けと体を抑えられても必死に山の方へ向かおうとしている
『っやだ、死んじゃう、みんな・・・！！』
そう言って首を振り大人たちを退けようと暴れる彼女の肩に手を置き、声をかけたのは武田先生だった
「佐伯さん」
先生の力強く、芯のある声はその場を鎮めるには十分で
泣きそうな顔をした佐伯はゆっくりと腕を下ろして黙り込む
「僕は・・・いえ、僕たちは君に何があったのかを知りません。今何が起きているのか正直なところ全く理解できませんが、唯一あそこは危険だということだけは誰がどう見ても分かるでしょう。そして僕は教師として、この場に居合わせた一人の大人として、君をあの場に送り出すことは出来ない。」
真剣な表情でしっかりと目を合わせながら話す先生に、彼女もいくらか落ち着きを取り戻したようだった
残酷なことを言うようですが、と前置きをしてから先生は続ける
「もし、あの場に行かせたとして
＿＿＿＿＿＿佐伯Aさん、17歳の君に何ができますか？」
・
・
・
一番聞きたくなかったこと
一番わかっていたこと
『・・・』
視界が歪んで頬を伝う生温い感覚に、自分は泣いているのだと理解する
悔しい
ここで、ただみんなが無惨に向かっていくのを見てるだけ
私はいつもそう
肝心な時に何もできない
いくら稽古をつけてもらっても
いくら周りに強いと言われても
いざという時に役に立てない
腹が立ってどうしようもなくて、地面に着いた手をぐっと痛いくらい握り締めた
ボコッ
『！？』
涙で地面を濡らしていると突如盛り上がる土
そこから顔を出したのは
『あ、あなたたち、』
いつか見た宝石で着飾った二匹の鼠
驚いて固まる私をよそに二匹は穴からなにかを引っ張り出した
『これって・・・』
目の前に差し出されたのは私の日輪刀
部屋のベッドの下に置いてきたはずなのに、なんで
『・・・持ってきてくれたの？』
そう聞けばコクコクと頷き、それから腕を振る仕草をして見せる
まさか、
『戦えって、言ってるの？』
私の問いに二匹は満足そうな表情を浮かべた
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ケイ - 面白かったです！！ほんとに何回読んでも感動します。初めて読んだときは泣いちゃいました！笑素敵な小説をありがとうございます！！ (2023年2月19日 13時) (
レス) @page39 id: d6b466aa56 (このIDを非表示/違反報告)
letsitami(プロフ) - とてもも面白かったです。ハイキューって見たことなかったんですけどよても読みやすかったし泣いてしまうくらいシリアスも入っていてもう、最高です！！！！ (2022年10月26日 20時) (レス) @page39 id: 96ae9e2937 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 闇内サクラさん» 参考の度合いにもよりますが、この作品のリンクと参考にしている旨を表記していただければ大丈夫ですよ！わざわざ確認のコメントありがとうございます！ (2022年5月24日 17時) (レス) id: 2d42c41f40 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 舞さん» コメントお返事遅くなってしまってすみません・・・！今回の更新で完結となります、読んでくださってありがとうございました！ (2022年5月24日 17時) (レス) id: 2d42c41f40 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - こまちさん» 更新ストップしていたにも関わらずコメントありがとうございます！お返事も遅くなってしまってすみません・・・一応今回の更新で終わりとなります、読んでくださってありがとうございました！ (2022年5月24日 17時) (レス) id: 2d42c41f40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りあ | 作成日時：2020年11月24日 0時
