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左手に温もりを感じて、目を覚ました
かなり長い間眠っていた気がする
先刻から感じる温もりの正体は、無一郎くんだった
ずっとこうして手を握っていてくれたのかと思うとなんだかくすぐったい気持ちになる
『・・・けほっ、』
声を出そうとするけど口が渇ききって空咳が出た
「・・・ん、?」
その音がうるさかったのか無一郎くんが起きてしまう
「A!目覚めたの、体調は?痛いところない?」
前のめりになって聞いてくれるけど声が出せなくて口だけを動かす
「、水、持ってくるから」
ぱたぱたと部屋を出ていく背中を見送って、天井を見つめる
・・・ああ、やってしまった
倉庫の中にみんなを入れてこちらの姿を見えないようにしたところまでは良かった
まさか第三体育館で練習してた人たちがこっちに来るなんて
私あの時思いっきり斬られたし、それを見られてしまった
一生のトラウマとかにならないだろうか、と
大量の血しぶきを見せてしまったことに後悔が止まらなくなり頭を抱えた
「・・・どうしたの、頭抱えて」
『!』
はい、と差し出された水を飲んで一息ついてから話し出す
『私、かなりざっくり斬られてそれはもうド派手に血しぶきあげてしまったんですけど・・・それを部員の方に見られてしまいまして』
「宇随さんみたいなこと言わないでよ」
一生忘れられない光景見せてしまったなあ、と思いまして
「俺と胡蝶さんで今回のことは忘れてくれって頼んだけど、無理だよね」
『そうですよね・・・、え?』
「え?」
今、胡蝶さんって言った?
無一郎くんは私のことを名前で呼ぶし・・・
『しのぶ姉さんが、まさか・・・』
動揺しながらそう聞くと無一郎くんはサラッと「記憶、戻ったみたいだよ」と言ってのけた
『え、なんで、きっかけは、』
思わず敬語が抜けてしまったがそれくらい私は焦っていた
「・・・夢に上弦の弐が出てきたんだって。それで、食べてあげるとかなんとか言われて何度も殺されたって言ってた」
『しのぶ姉さんの夢にまで出るなんて、執念深い鬼・・・』
悔しさのあまり爪が食い込むくらいギュッと手を握ると優しく無一郎くんの手が私の手を包んだ
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翼 - 感動して泣いちゃいました (2022年2月11日 11時) (レス) @page45 id: 9c262f26ff (このIDを非表示/違反報告)
すいかグミ - うまいです。おうえんしています! (2020年11月18日 21時) (レス) id: c90e4aee72 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - 鮭の神様(元 レオ)さん» 胡蝶さん推し・・・!ファンの方に納得していただける内容でしたでしょうか?ハイキューは完結してしまいましたが素晴らしい作品なのでぜひ!ありがとうございました! (2020年11月6日 16時) (レス) id: c3c6f01606 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - ステラさん» ハイキューをあまり良く知らない方にも読んで頂けてるなんて感激です(;_;)ありがとうございます! (2020年11月6日 16時) (レス) id: c3c6f01606 (このIDを非表示/違反報告)
りあ(プロフ) - Honomi1204さん» ありがとうございます!大好きだなんて言っていただけて本当に嬉しい限りです(;_;)最後までお読みいただきありがとうございました! (2020年11月6日 16時) (レス) id: c3c6f01606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りあ | 作成日時:2020年8月7日 17時