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路上ライブを見ようと人が集まってきた。後ろから人に押され、よろけた私は前にいた少年にぶつかる。
制服を着ていた男の子は「別に」と一言だけ言うと人混みをかきわけてどこかへ言ってしまった。
「なに、どうしたの」
「…いや、いま人にぶつかっちゃって」
「大丈夫?」
「うん」
友人が心配そうに言うが、私はぶつかってしまった方なので心配されても申し訳ないだけだ。
それよりあの制服、高校生だろうか。やけに美人だったなぁ。最初女の人かと思ってしまった。
「あの人?制服見た感じ向こうにあるちょっと頭いいとこの学校だよ。良かったね、ぶつかったのが反対のヤンキー校じゃなくて」
「怖いこと言うのやめて!!」
友人はさっきの少年が見えなくなると再び路上ライブに耳を傾けた。どうやらこのシンガーを気に入ったようだ。
「……この人のCD買っておこうかな」
「え、A珍しい」
「別に、あんたが欲しそうにしてたから」
「へ、へへ……ちょっといいなって思っちゃったんだ」
A以外の歌をいいなって思うなんてごめんね、と謝られて私はついつい笑ってしまった。
謝る必要なんてない。歌は、音楽は人それぞれの巡り合わせがあるものだから。
そう、ーー人も音楽も繋がるきっかけは些細なものでいいんだよ。
口にはしなかったが、そんならしくないことを思いながら友人とCDを手に取り、購入した。
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作者名:ららら | 作成日時:2020年2月21日 11時