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興味ページ3

「似てると思ったの」

帰る支度をする僕の横で机に突っ伏して優しい眼差しを向ける彼女は、僕を見つめて言った。

「僕も感じたよ。自己紹介の時にね」
「自己紹介？」
「うん。僕も名前だけだったんだ」
「あっ、それね。だって、私の特技とか趣味を言っちゃうのは死と紙一重なんだもん」
「そうなんだ」
「なあに、その冷たい反応は」

『少しくらい私に興味を持ってもいいじゃない』と、唇を尖らせる彼女。本当によく喋る。もう少し物静かな人だと思っていたけれど、それは僕の見当違いだったみたいだ。

「ねえ、聞いてる？」
「僕、帰るよ」
「私も帰るよ」
「じゃあ」
「一緒に」

リュックを背負って教室のドアに向かおうとしたら、制服を何かに掴まれた。言わなくても分かる。それが彼女の手ってことくらい。

「友達は？」
「今日はジョングクと帰るって言ったの」
「呼び捨てしないでよ。僕ら、そんな関係じゃない」
「冷たいね。私は友達だと思ってるよ」
「そうだね。それは君だけだ」

冷たいと感じるのなら話しかけるのを少しは遠慮して欲しい。『友達』なんて僕には必要ない。たとえ相手が僕に対して友達と意識していても。

「君を傷つけたくない。だから、その手を」
「うん、離す。でも、私は君と友達になりたい」
「君が嫌なんじゃないんだ。僕には友達がいない。この先もいなくていい。それが僕の答え」

何か言いたげな顔をしていたけれど、僕は教室を出た。これ以上、僕の領域に踏み入られるのは困る。『どうして？』なんて聞かれてしまえば面倒になることくらい想像できるからだ。

「……これでよかったんだ」

「あれ？チョン君まだ残ってたの？」
「パク先生。はい」
「ソンさんのこと見てない？もう帰ったかな？」
「教室にいますよ。さっきまで一緒でしたから」
「ありがとうって言いたいところなんだけど、このあと先生、会議あるの。ソンさんにこの書類を届けてもらっても大丈夫かな？」

最悪な時にパク先生と出会ってしまった。こんなことなら嘘をついてでも帰るべきだった。でも、仕方ない。パク先生の頼みだから。

「いいですよ。届けておきますね」
「ごめんね！本当にありがとう！」

「……靴箱で待つか」

「ジョングク？」
「これ、パク先生から」
「あっ、ありがとね」

一瞬、腕に噛み跡のようなものが見えたが、目的の書類を渡すことに必死だった僕は、彼女に聞くのを忘れていた。