STORY.254［決意］ ページ25
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静寂だけが辺りを包む。
息が詰まるような重苦しい空気の中、轟は俯いているAと出久を一瞥すると踵を返した。
「言えねえなら別にいい。お前がオールマイトの何であろうと、俺は右だけでお前の上に行く。時間とらせたな」
スタスタと離れていく轟の背をじっと見つめ、何かを決意するように固唾を呑み込んだ出久がそれを追いかける。
砂利を踏む音が近づいてくる事に気づくと、轟は顔だけ振り返った。
「僕は、ずうっと助けられてきた。さっきだってそうだ。…僕は誰かに救けられてここにいる」
出久は自身の手を見つめながら、一つ一つを思い出すように言う。
無意識に両手を強く握ると、まるでそれに応えるように木々がざわめき髪が揺れた。
「オールマイト…彼のようになりたい…」
自身の願望を呟くと、出久は何かに耐えるように奥歯を噛み締める。
「その為には一番になるくらい強くなきゃいけない。君に比べたらささいな動機かもしれない…」
俯いていた顔を上げた出久の瞳には、確かな決意の火種が宿っていた。
ずっと先を見据えるその瞳は、酷く圧倒されて人を惹き付ける魅力を持つ。
「でも僕だって負けらんない。僕を救けてくれた人達に応える為にも…！さっき受けた宣戦布告、改めて僕からも…」
その時、より一層強くなった風はまるで革命を予兆するような強さを感じさせた。
「僕も君に勝つ！！」
言い切った出久の瞳には、もう昔の出久を微塵も残していない。
無表情のまま冷たい眼差しを向ける轟にどこまでも真っ直ぐな瞳を向ける出久を見て、Aは今までの出久との変化をここで改めて実感した。
もう弱々しく夢を諦めがちなっていた出久はいない。背中を向けて一人泣いていた姿はない。
昔の面影を感じさせない顔つきは、きっと同じ中学の人達が見たら酷く驚く事だろう。
だが人間は、たった一つのきっかけでこうも変われるものなのだ。
だからきっと轟も変わる事ができる。
その役目は恐らく出久なのだろうと思いながら、Aは微かに笑みを溢した。
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月神姫(プロフ) - コメントありがとうございます！そう言ってくれる人がいるだけでとても励みになります！これからも頑張ります！ (2019年3月13日 20時) (
レス) id: c244c7ed18 (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - すごく面白いです！自分的にドストライクなお話です！これからも頑張って下さい！応援しています！ (2019年3月13日 20時) (レス) id: 4907f78f37 (このIDを非表示/違反報告)
月神姫(プロフ) - コメントありがとうございます！この作品を好きだと言ってもらえてとても嬉しいです！質問には質問コーナーで答えさせてもらいますね！ (2019年3月13日 20時) (レス) id: c244c7ed18 (このIDを非表示/違反報告)
凛☆(プロフ) - この作品すごく好きです！質問なんですが、緑谷くんや轟くん、かっちゃん以外の他のキャラとの絡みはあるんですか？ (2019年3月11日 7時) (レス) id: 01db61de35 (このIDを非表示/違反報告)
月神姫(プロフ) - コメントありがとうございます！そう言ってもらえるだけで頑張る気持ちが沸いてきます！期待に応えられるよう頑張らせてもらいますね！ (2019年3月10日 22時) (レス) id: c244c7ed18 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月神姫 | 作成日時：2019年1月26日 18時
