ﾊﾞﾚﾝﾀｲﾝ(後編) ページ39
「A！？」
聞き慣れた声であたしの名前を呼ぶのは、彼氏の灰羽リエーフだ。
「あ、リエーフ！待ってたよ。」
2月14日、バレンタイン。
あたしは、昨日夜更かししてバレー部のみんなに作ったチョコレートを早速配っていた。
「おーっス、遅かったじゃねーか。まぁいつもの事だけどな」
「ちょ…なんすか！まさかチョコすか！？」
「そう！バレー部のみんなに作ってきたの！」
「そんなぁ……。」
「え？お前なに？なんでショック受けてんの？」
「カノジョからのチョコ嬉しくねーの！？」
…なのだが。どうやら
そして見るからにぶすくれている彼は、その場にしゃがみこむと、ぼそぼそと呟いた。
「……俺だけトクベツじゃなかった……。」
「ブッハハハハ！！言うと思った！！！」
「ほらな！A、俺の言った通りだろ！」
「あの…リエーフくん、そんなに落ち込まないで…」
「リエーフ…そんなとこでしゃがみこまないで……じゃま…」
…でしょうね。
この子がみんなと同じもの渡されてありがとうと返すわけが無い。
と、そんなことはあたしにはとっくに分かっていた。
「はい、リエーフのぶん」
「…え？これ」
「トクベツだよ、トクベツ！」
専用のラッピングに包んだそれを渡すと、彼の顔色はみるみるうちに明るくなっていく。
「…あけていい！？！？」
「いいよ」
「マカロン！チョコレートだ！！すごい！！」
「頑張って作ったんだからね！」
「A………！！大好きだ！！！」
「うっ！くるし…突然抱きついて…こないで…」
見える見える。犬のしっぽがみえる…
でも、ほんとに昨日時間かけて作ったから、こんだけ喜んでもらえると作った甲斐があるなぁ。
…いい加減苦しいので、引っ付いてくるリエーフを引き剥がしていると、突然福永くんが口を開いた。
「…リエーフ」
「なにー？」
「バレンタインにマカロンを送る意味知ってる？」
「ううん、知らない」
「“あなたは特別”っていう意味」
「！？ウオオ…Aーーーっ！！！！」
「うわああああ！！！！」
「熱いねぇ」
「うん、実に熱い」
「あつくるしすぎ」
・
・
・
こうして、あたしとリエーフのバレンタインは終わった。
それからしばらく、リエーフがあたしから離れてくれずに、練習開始が長引いたのは、ここだけの秘密のお話。
終わり
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たかな(プロフ) - ライグリールさん» ありがとうございます！！ (2020年7月30日 6時) (
レス) id: 73a36fd221 (このIDを非表示/違反報告)
ライグリール - すごい…リエーフがかわいい…！おもしろかったです！ (2020年7月27日 21時) (レス) id: 10ffdced2d (このIDを非表示/違反報告)
たかな(プロフ) - 夜空さん» コメント、とっても嬉しいです！！読んでくれてありがとうございます！！！ (2020年2月21日 21時) (レス) id: 76ca1e95bd (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - すごく面白かったです。リエーフ君、カッコいいッ (2020年2月20日 19時) (レス) id: abc6410102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：TANAKATUKI | 作成日時：2020年2月7日 3時
