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。弐拾肆.ひとりぼっちの闘い ページ46

ぐらぐら。ぐらぐら。

自分で決めたことなのに、本当にこれで良かったのだろうか、他にもっと良い選択があったのではないかと気持ちが揺らぐ。

(……揺らぐな。今の私が考える限り最善の選択だ。切り替えろ、過ぎたことに心を揺さぶられるな。こんな弱々しい気持ちで奴に立ち向かえるわけがない)

「……すー、はー……すー、はー…………

……よし」

ルーティンで冷静さを取り戻した癸七子は、痙攣する体に鞭打って言葉を放った。

「──手前ェのお望みどおり残ッてやッたぞ、鬼舞辻無惨」

「当然の摂理だ。むしろ貴様が私に頭を垂れ、感謝すべきだ。貴様が賢い判断をした褒美として他の人間を見逃したのだからな」

「あァ?今なンつッた。賢い判断だと?それは、私が手前ェから逃げることを諦めたことを言ッてンのか?」

「だとしたら、なんだ?」

「だとしたら見当違いなンだよ。なにせ私は──まだ諦めてねェからなァ!」


そう言うと同時、癸七子の体が白い光に包まれた。


視界を覆い尽くすほどの光に、さしもの鬼舞辻も僅かに目を細める。

段々と光が止むと、そこには傷ひとつない癸七子の姿があった。

全身を赤く染めていた血もなく、痙攣も止まり、生気に満ちた眼光で鬼舞辻を射抜く。

「治癒の呪符か」

「私は手前ェなンかに捕まらねェ。手前ェの玩具なンかにならねェ。呪符を手前ェなンかに使わせねェ。まだ、まだ手前ェから逃げられないとは決まッてねェ。

──勝手に人の闘い終わらせてンじゃねェよ」

「──」

ぴくり、と鬼舞辻の眉が歪む。

「不愉快だ」

端的にそう発せられると、鬼舞辻が地を蹴った。

「……シッ」

それに合わせて癸七子も身を低くして駆け出す。

(ここからが本当の、死闘)


──ぽつり、と雨が降り始める。


ひとつの雨粒が癸七子の頬を濡らした。


────(弐拾肆話目↓)


しとどに振る雨の中、癸七子は縦横無尽に戦場を駆け巡る。

濡れた地面を踏みしめるたびビチャっ!と泥水が跳ねて白い靴下にかかった。

そこで、一際大きく泥水が飛んで癸七子の頭の高さまで跳ね上がる。──同時、甲高い金属音。

鬼舞辻の首の皮膚と癸七子の刀が衝突した音だ。

(刃が、通らない)

しかし動じることなく癸七子は体を翻し、反対側の首へと刀を振るう。が、小さな火花を散らして刀が弾かれてしまう。

さらに上下左右に剣戟を叩き込んでから上空後方へと飛んで、空中で身を捻って着地した。

──ここで一息。

。→←。



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雛月りな(プロフ) - 白黒虎さん» わあああありがとうございます!今日中に更新出来ると思うので楽しみにしててください!応援ありがとうございます!! (2019年11月26日 12時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
白黒虎 - 早く続きが読みたいですが、出来るまで待ちます!!頑張ってください!!! (2019年11月26日 6時) (レス) id: 126a3885c8 (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - むいたん!さん» コそう言って頂けてすごく嬉しいですし、書く原動力になります!コツコツ更新できるように頑張ります。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
むいたん! - 内容が濃くて凄く面白いです!次の更新楽しみにしています!♪ (2019年11月24日 10時) (レス) id: 9146c62b5e (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年10月3日 2時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雛月りな | 作成日時:2019年9月29日 18時

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