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(ああほんと、死んで欲しい)
ギロりと睨む。
とそこで脳内にしのぶさんの声が響く。
『全員目的地に到着しました。癸七子さんも早く……!!』
『いえ、私はここに残ります』
『っ!?』
正直に答えると、全員の息を詰まらせる音がした。
『癸七子さん!?一体なにを考えているんですか!?』
『よもや!逃げられない状況なら俺が加勢しに行こう!』
『だめです。鬼舞辻の狙いは私。無駄に被害を大きくするだけです』
『それ聞いてああそうですかって言うと思ってんのかァ!?』
『思っていません』
声を荒らげて異を唱える柱たちに対して、癸七子は至って冷静な声で言った。
冷静でいられるのは、柱たちの気持ちが大いに分かるからだった。
(そうだよね、私も柱の立場だったらなにふざけてんだとぶん殴ってでも止める)
柱も考えは同じようで今にも私の元へ駆け戻ろうとしている。
その行動に、私を思いやってくれていることが感じ取れてジン……と胸が熱くなる、が、すぐにその気持ちに蓋をするように口を引き結んだ。
1拍置いて冷たい声を放つ。
『──“
その瞬間、柱たちの動きがピタリと止まった。
まるで停止ボタンを押された機械のように。
『っ!?う、動かない!?』
『これはもしや呪符……』
『ええそうです悲鳴嶼さん。言葉に呪力を込めて対象を意のまま操る呪符・“言霊”です。
……そして』
続いて撤退用の“空間歪曲”を発動させた。
呼応するように、癸七子の目でしか捉えられないほど遠くのところでカッと白く強い光が上がる。
そこには柱たちが立っていた。一瞬で光が止むと、足元が歪んで柱たちを呑み込んでいく。
『んなっ、今すぐこれを解いてください癸七子さん!!』
『オイ聞いてんのかテメェ……っ今すぐ解けやァァ!』
“空間歪曲”に抗おうと声を荒らげ、必死に私へと手を伸ばす柱たち。
「……」
──師匠、師匠、ねえ、師匠!
その、酷く悲しそうな表情や気配の色が自分と重なって胸が苦しくなった。
『……ごめんなさい』
ぽつりと呟くと柱たちは目を大きく見開かせ、悲痛に顔を歪める。
いくな
そう訴えられているのは色を見なくても分かる。
(でも、こうしないと柱たちが死んでしまう)
『待て、癸七子──』
「……っ」
珍しく義勇さんから言葉を発していたが、“思念通話”を切断する。
……これ以上彼らの声を聞いていたら悲しみや悔しみで頭がどうにかなりそうだった。
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雛月りな(プロフ) - 白黒虎さん» わあああありがとうございます!今日中に更新出来ると思うので楽しみにしててください!応援ありがとうございます!! (2019年11月26日 12時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
白黒虎 - 早く続きが読みたいですが、出来るまで待ちます!!頑張ってください!!! (2019年11月26日 6時) (レス) id: 126a3885c8 (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - むいたん!さん» コそう言って頂けてすごく嬉しいですし、書く原動力になります!コツコツ更新できるように頑張ります。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
むいたん! - 内容が濃くて凄く面白いです!次の更新楽しみにしています!♪ (2019年11月24日 10時) (レス) id: 9146c62b5e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年10月3日 2時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛月りな | 作成日時:2019年9月29日 18時