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ページ38

──……!!

そこで視界が回復した。

しかし、激しく霞んでいて、いっこうに焦点が定まらない。その中で確認できるのは自分が地面に倒れ伏し、一面真っ赤に染まっていることだけ。

その赤が自分の血だとしたら笑えない冗談だと頭の端で思った。


この失血の量は重傷の域を軽く超えている。


致命傷の1歩手前といったところだ。

かろうじて意識があるのは単に鬼殺隊の柱だからであるからに過ぎない。一般人は考えるまでもなく、普通の鬼殺隊員ならばとっくに死んでいる。

(一体いつ攻撃されたァァ?……いや、視界が真っ黒に染まったあの瞬間しかねえよなァ)

だが、それなら可笑(おか)しいことがある。


攻撃される直前、癸七子は絶対防御の呪符を発動していた。


更にはあらかじめ常時自動防御の呪符も掛けられている。にも関わらずこれほど負傷しているのは可笑しい。

(傷の部分はどこも皮1枚で体がつながってるってとこだなァ。……くそッ、動かねェ……ッ)

「……ク、ソ……ガァァ……ッ」

『──皆さん動かないでください』

起き上がろうと力を込めた途端、脳内に胡蝶の厳しい声が響いた。冷静を装ってはいるが、動揺が隠しきれていない。

それほど事態は最悪ってことか。まあ、分かりきっていたことだが。

『指1本たりとも動かすことを禁止します。すぐに機能回復で止血を』

『言われなくてもやってんだよォ……!』

意識が覚醒してからずっと呼吸で止血を(こころ)みているが、止まる気配がない。やはり傷が深すぎる。

『自動で傷を回復させる呪符ってやつも効き目がねェ!アイツはなにしてやがる!』

『落ち着いてください不死川さん』

『おい答えろォ。アイツはどうしたァ……!』

『……っ』

強い口調で問えば胡蝶が息を詰まらせた。

(……おいおい、ふざけんじゃねぇぞ)


ああこれはなにかある。


それを悟った瞬間、なぜか激情に駆られた。

「……っ!」

酷く重い顔を動かしてアイツの姿を探す。右、左と動かし、途中焦ったような声で咎められたが知ったことではない。

(悔しいが早く、早くアイツに回復して貰わねえと全滅しちまう──)

下へと向く、がいない。

そして、上を向く。






「──んな…………」






──そこにはアイツの姿があった。



──胸を貫かれ、致死量の血(・・・・・)を全身から垂れ流し、立ち尽くす、アイツの姿が。

。→←。



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雛月りな(プロフ) - 白黒虎さん» わあああありがとうございます!今日中に更新出来ると思うので楽しみにしててください!応援ありがとうございます!! (2019年11月26日 12時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
白黒虎 - 早く続きが読みたいですが、出来るまで待ちます!!頑張ってください!!! (2019年11月26日 6時) (レス) id: 126a3885c8 (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - むいたん!さん» コそう言って頂けてすごく嬉しいですし、書く原動力になります!コツコツ更新できるように頑張ります。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
むいたん! - 内容が濃くて凄く面白いです!次の更新楽しみにしています!♪ (2019年11月24日 10時) (レス) id: 9146c62b5e (このIDを非表示/違反報告)
- 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年10月3日 2時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雛月りな | 作成日時:2019年9月29日 18時

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