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その容姿は、酷く見知った彼女そのものだった。
目を大きく見開かせ、彼女の姿を映す。
(……あの姿は……!)
「癸七子……っ!?」
「──“昇り龍風”!!」
癸七子が叫ぶ──直後、ゴッ!と足元からもの凄い風圧が生まれ、鬼舞辻の体を上空へと吹っ飛ばした。
(ふ、吹っ飛んだァ──!?)
口をあんぐり開けて驚く炭治郎をよそに、癸七子は間髪入れずブツブツとなにかを呟く。
すると、鬼舞辻の背後の空間に歪みが生じた。
ズッ──とその歪みをくぐった鬼舞辻の体が消える。
(き、消えたァ──!?)
ドッ、と轟音を鳴らして地面を蹴った癸七子もその歪みをくぐり、姿を消した。
「はっ、癸七子……ッ!」
やっと動いた体に酸素を巡らせ、自身もくぐろうと上空へ跳ぶ。
……が、くぐる寸前で歪みはなくなってしまった。
「くっ……!」
そのまま地面に着地する。
(くそっ、なにも出来なかった!)
柄にかけていた手を離し、拳を握りしめる。
ツ──と拳から一筋の血が伝った。
(鬼舞辻と癸七子はどこへ行ったんだ……。
癸七子からは強い殺意と覚悟の匂いがした。恐らく、いや確実に鬼舞辻と一戦交えるつもりだ!)
となると2人が姿を消したのは、ここで闘えば被害が大きくなるから……
(いや、そもそもなぜ癸七子は鬼舞辻がここにいると知っていたんだ……?これは一体……)
ぐるぐる、ぐるぐる。
考えれば考えるほど分からなくなっていく。
こんがらってきて頭を抱える──直前。
すん。と鼻が再び鬼の匂いを嗅ぎとった。
「ッ!」
すぐさま臨戦態勢を取り、視線を右へ左へと動かす。
(人間の匂いに紛れている……どこだ、どこにいる)
匂いはするのに場所がわからず、焦りが一筋の汗となって頬を伝う。
「あなたが、炭治郎さんですね」
「……っ!?」
唐突に、背後からおしとやかな声が聞こえた。
身を
鬼だ。
そこには、鬼の匂いがする女の人と男の子がいた。
「どうして、俺の名前を……」
問いかけつつ、腰を落としていつでも抜刀できる体勢を整える。
だが、目の前の
「瞳原癸七子さんからあなたのことをお聞きしました」
「癸七子、から……?」
「炭治郎さんは鬼になった者にも「人」という言葉を使ってくださる良い人だ、と。私の悲願成就のため協力もしてくださるだろうから一度話をしてくれ、と」
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雛月りな(プロフ) - 白黒虎さん» わあああありがとうございます!今日中に更新出来ると思うので楽しみにしててください!応援ありがとうございます!! (2019年11月26日 12時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
白黒虎 - 早く続きが読みたいですが、出来るまで待ちます!!頑張ってください!!! (2019年11月26日 6時) (レス) id: 126a3885c8 (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - むいたん!さん» コそう言って頂けてすごく嬉しいですし、書く原動力になります!コツコツ更新できるように頑張ります。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
むいたん! - 内容が濃くて凄く面白いです!次の更新楽しみにしています!♪ (2019年11月24日 10時) (レス) id: 9146c62b5e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年10月3日 2時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛月りな | 作成日時:2019年9月29日 18時