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ガッ!!
あらん限りの力で、鬼舞辻の肩を掴む。
奴は、ゆっくりとこちらへ振り向いた。
(こいつが!!)
「──!!」
コイツを──斬る!!!
日輪刀へ手を伸ばし抜刀する。
その、寸前。
「おとうさん」
幼い女の子の声が耳に届いた。
はっと肩を揺らし、気づく。
奴が、その女の子を胸に抱いていることに。
その女の子はまん丸な目に俺を映して、首を傾げる。
「だぁれ?」
「……!!」
ヒュッ──喉がなる。
その言葉に、底知れぬ驚きや怒り、不快感、苛立ち、憎しみ、数えきれない感情が背筋を駆け上がる。
ゾワゾワ──!!
(こいつ…………こいつ!!こいつ!!人間のふりをして暮らしているんだ!!)
「私には何か用ですか?随分慌てていらっしゃるようですが……」
「あら、どうしたの?」
「おかあさん」
そこへ、もう1人の女性の人間が現れる。
もう、荒れ狂う感情と信じられない光景に吐き気がしそうだった。
(知らないのか?わからないのか?こいつが、鬼だって、人を喰うって)
「お知り合い?」
女の人が、鬼舞辻に尋ねる。
「いいや、困ったことに少しも──……知らない子ですね」
何食わぬ顔でそう答える鬼舞辻。
「人違いでは」
──そう言って、背中で片手を隠しながら爪を伸ばし、
「ないでしょうか」
通りかかった人間の男に爪を突き立てる──
「……!!やめっ──」
遅れてそれに気づいて叫ぶが、間に合わな──
「──やっと捕まえた」
不意に凛とした声がして。
ぱし。
と。
鬼舞辻の──手首が
掴んだのは、鬼舞辻に殺られそうになった男。
人間の限界を
「──」
その男は、冷徹な刃の如く鋭い瞳で鬼舞辻を睨んでいる。
「……ッ!?」
炭治郎は驚愕に目を見開かせた。
(鬼舞辻の動きを、止めた……!?な、なんだあの人の速さは……一般人じゃないぞ!
それに声もなんだか……)
目の前で起こっている光景が信じられず、自分でも嗅げるほど酷く動揺する。
対して、男は殺気立たせながら地を這うような声を放った。
「さあ、
瞬間、男の顔がジジっと音を立てて揺らめいた。
揺らめいた部分から、男の容姿が変化していった。
黒髪から白髪へ、
体が一回り小さくなり、
若草色の和服から黒の隊服へ。
そして、割れた硝子を彷彿とさせる羽織が現れる。
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雛月りな(プロフ) - 白黒虎さん» わあああありがとうございます!今日中に更新出来ると思うので楽しみにしててください!応援ありがとうございます!! (2019年11月26日 12時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
白黒虎 - 早く続きが読みたいですが、出来るまで待ちます!!頑張ってください!!! (2019年11月26日 6時) (レス) id: 126a3885c8 (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - むいたん!さん» コそう言って頂けてすごく嬉しいですし、書く原動力になります!コツコツ更新できるように頑張ります。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
むいたん! - 内容が濃くて凄く面白いです!次の更新楽しみにしています!♪ (2019年11月24日 10時) (レス) id: 9146c62b5e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年10月3日 2時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛月りな | 作成日時:2019年9月29日 18時