。弐拾弐.動き出す ページ26
ここから緩やかに物語が動きます
────
「……雨」
ぽつり、ぽつりと雫が落ちて、次第にサァァ──と本格的に降り出し始める。
しとしとと雨が頬や髪を濡らす。
(これは……長引きそうだな)
「当日は、晴れるといいけど……」
一抹の不安を抱きつつ、癸七子は蝶屋敷へと戻った。
.
その翌日。
産屋敷邸にて柱合会議が開かれた。
────(弐拾弐話目↓)
集合時間の30分前。
「派手に多過ぎだろ、柱合会議」
「よもや!今週でもう3回目だな!」
産屋敷邸の庭には既に全ての柱が揃っていた。
しのぶとともに来た癸七子は、義勇を見つけるとパァっと顔を輝かせて駆け寄ると話を交わしていた。
「おはようございます義勇さん!」
「……(こくり)」
「見てください、昨日やっと刀が届いたんです!」
「そうか。良かったな」
「はい、やっぱり自分の刀を持つとテンション上がりますね!」
「……?」
「あ、やる気が上がるってことです」
「そうか。精進を怠るな」
「っ義勇さんからその言葉を頂けるなんて……ありがとうございます!色んな意味で!私あと半年は頑張れます!」
「そうか」
淡白ではあるが、癸七子の言葉に対してきちんと反応する義勇。
──このやり取りを聞いていた柱全員は、その瞬間、全集中・常中の呼吸が止まった。
((((((((あの義勇が相槌を打っている、だと……!?))))))))
水柱・冨岡義勇といえば、顔は良いがそれを遥かに上回る無愛想な態度で、感じの悪い無口野郎だったはず。
こちらが話しても相槌は愚か、頷きすらしない。
口を開いたと思ったら棘しかない言葉しか喋らない。
正直、柱の中でも特定の者からはかなり嫌われている。
そんな義勇に、癸七子は懐いた子犬のように尻尾をパタパタさせながら話しかけている。
命の恩人であり、2年前共に戦ったとはいえ、こ)は懐きすぎではなかろうか。兄弟子だということを加味しても、この懐き具合はやはりおかしい。
義勇も義勇で、いつもは返さない返事をし、果てには“精進を怠るな”などと応援の言葉まで送っている。
冗談抜きで信じられない光景だった。
「気持ち悪ィ」
「あら、珍しく意見が合いましたね不死川さん。私もです」
「……俺、この後地味に眼科行くわ」
「うむ!どうやら俺の目もおかしいようだ!俺も行こう!」
「……信用しない。信用しない……」
「南無……」
若干、いや、かなり顔が青ざめている柱たち。
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雛月りな(プロフ) - 白黒虎さん» わあああありがとうございます!今日中に更新出来ると思うので楽しみにしててください!応援ありがとうございます!! (2019年11月26日 12時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
白黒虎 - 早く続きが読みたいですが、出来るまで待ちます!!頑張ってください!!! (2019年11月26日 6時) (レス) id: 126a3885c8 (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - むいたん!さん» コそう言って頂けてすごく嬉しいですし、書く原動力になります!コツコツ更新できるように頑張ります。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
むいたん! - 内容が濃くて凄く面白いです!次の更新楽しみにしています!♪ (2019年11月24日 10時) (レス) id: 9146c62b5e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです!頑張ってください! (2019年10月3日 2時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛月りな | 作成日時:2019年9月29日 18時