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(序盤はせめぎあってた。いや、むしろ私が押していたのに……)
このまま押せば1本取れる、そう確信した直後に小芭内さんが驚きの行動に出た。
呼吸の型を使ってきたのだ。
それはもう、息をするように自然に。
(これまでの柱稽古は普通の打ち合い稽古だったから、てっきり型は使わない暗黙のルールでもあるのかと……。
完全に油断していた。目が良くなかったら死んでたかも)
型の使用により、形勢は一気に逆転。
次々と放たれる型に対応しきれなくなったところを狙われ、あえなく撃沈。
体にはいくつもの擦傷、打撲がみられたので、そのまま治療を受けに蝶屋敷へ来たということだ。
「はい、治療は以上です」
「ありがとうございます、しのぶさん」
まだ痛む体のあちこちをさすりながら、しのぶさんに頭を下げる。
「訓練に励むのは良い事ですが、それで怪我をしていては元も子もありませんよ」
「き、気をつけます……」
「ですが怪我をさせる伊黒さんも伊黒さんです。私の方から少し注意をしておくとしましょう」
「是非ともお願いします」
即答で深々と頭を下げた。
(本当に死にそうだったからな。あわよくばこってりしぼられてしまえばいい)
と思っていると、しのぶさんが疑問を口にした。
「ところで癸七子さん。呪符には治癒ってあるんでしょうか」
「？はい、ありますよ」
「ならなぜソレを使わないんですか？軽傷なら呪符で治したほうが痛みもなくて済むと思いますが……」
「ああ、それは自己治癒力を高めるためです。
確かに呪符なら致命傷でも後遺症を残すことなく完治可能ですが、そればかりに頼っていると細胞が働かなくなって体が弱くなってしまうので。
師匠にも治癒の呪符は重症の時だけにしとけと言われてます」
「なるほど。癸七子さんは呪符に驕らずきちんと鍛錬しているんですね、素晴らしいです」
「っ！ありがとうございます！」
嘘偽りのない褒め言葉に、パァっと自分でも分かるくらい明るい顔になる。
「今日はもう遅いのでうちに泊まっていってください。伊黒さんには私の鎹鴉で連絡しておきます」
「わああ、なにからなにまでありがとうございます。お言葉に甘えてお世話になります」
ということで。
蝶屋敷に泊まることになった癸七子は、すぐにお風呂に入ってから屋根の上に登った。
「今日も月が綺麗だな」
ひとしきり夜空を堪能してから、“思念通話”の呪符を発動させる。
月撫との定期連絡のお時間だ。
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雛月りな(プロフ) - 白黒虎さん» わあああありがとうございます！今日中に更新出来ると思うので楽しみにしててください！応援ありがとうございます！！ (2019年11月26日 12時) (
レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
白黒虎 - 早く続きが読みたいですが、出来るまで待ちます！！頑張ってください！！！ (2019年11月26日 6時) (レス) id: 126a3885c8 (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - むいたん！さん» コそう言って頂けてすごく嬉しいですし、書く原動力になります！コツコツ更新できるように頑張ります。 (2019年11月24日 22時) (レス) id: 6c5cdc2389 (このIDを非表示/違反報告)
むいたん！ - 内容が濃くて凄く面白いです！次の更新楽しみにしています！♪ (2019年11月24日 10時) (レス) id: 9146c62b5e (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 続きが楽しみです！頑張ってください！ (2019年10月3日 2時) (レス) id: 193d98d6bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛月りな | 作成日時：2019年9月29日 18時
