第一章：全てを捨て置いて�� ページ7
――つまり、逃げ場ナシ。
ド、途轍もなく重い一撃をモロに喰らい、容赦なく口から大量の血が吐き出された。
「……‼️」
音はない。声もない。
時間が、止まったかのようだった。
――同時刻、モニタールーム。
そこには職員が集まっていて、試験の様子を見守っていた。
が、今は驚きに荒れていた。
原因は2つある。
１つ目、ついさきほど超パワー――それこそオールマイトに匹敵する力で０ポイントヴィランが倒されたから。
２つ目、同刻、別の演習会場で殺傷能力の高い攻撃をしないはずの０ポイントヴィランが、１人の少女に攻撃したから。そして、少女は吐血していた。
今は後者の方で荒れていた。
「なんだ！？ あの０ポイントヴィラン暴走してるぞ！」
「おい救護班急げ！」
「ちゃんと点検はしたのか！」
「それより他の奴は大丈夫なのか！？」
「いや……暴走してるのはアレだけだ！」
慌ただしくそれぞれが迅速に動く。
と、
「お、おいあれを見ろ！」
１人の職員が叫んだ。それだけで１つのモニターに一斉に視線が集まる。
そこには、血にまみれた少女の無惨な姿……………
ではなく。
『焼き尽くせえええええぇぇぇぇぇぇぇえええ！！！！！』
ぼろぼろになりながらも、決して諦めない光を瞳に宿した勇猛果敢な少女だった――！
重い一撃を喰らい、致死量の血を吐いた私。
死んだ。間違いなく、死亡直行ルート。
――もし“それが”人間だったらね……――！
叫ぶ。慟哭のように。喉が潰れんばかりに――心の中で。
瞬間、吐血したワタシがポン、と音を立てて一枚の木の葉に変わった。
あれは、０ポイントヴィランを欺く為のフェイク。あれは、私が妖術で生み出した幻影だ。偽物の私が囮になっている間、本物の私は必死に気配を殺して背後を取っていたのだ。
０ポイントヴィランの頭上。攻撃準備完了。あっちは対応出来ていない。
チャンスは、今――！！！
「焼き尽くせえええええぇぇぇぇぇぇぇえええ！！！！！」
――狐火・嵐華――ッッ！！！
ぶわぁ……！！ 青の火焔放射が０ポイントヴィランの頭を呑み込む。燃やし、溶かし、確実に、HPであるならば次第に０へと近づいていく。
全てが、蒼焔に呑まれる。
そして。妖華が地面に着地したと同時、相手の頭は溶かし尽くされ、けたたましい轟音を轟かせながらゆっくり、ゆっくり、地面へと倒れた。
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黒猫 - 焦凍君と妖華ちゃんの関係が今後どのようになるのか気になります。更新頑張ってください！！ (2019年1月29日 8時) (
レス) id: 08222d2249 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛月りな | 作成日時：2017年8月15日 14時
