第一章：全てを捨て置いて�� ページ3
やたらと声がデカくて高い声、それにラップ口調……しかもあの容姿。
実技試験の概要を説明する人は、ボイスヒーロー・プレゼントマイクらしい。彼がテンションを上げようとも、受験者達は一切乗らないまま、見事に滑り続けている。
「……(……悲しきかな)」
心の隅で合掌。そのままだだ滑りながらも構わず実技試験の説明を続けた(ヒーロー魂凄い)。
それを終えたあと、質問タイムで天哉くんがプリントと口頭による説明の違いを指摘――と同時に緑の縮れ頭くんに注意――をして、説明は以上となった。
「演習会場、BとCか……やっぱり違かったね」
「同じ中学校の者同士で協力させないためだろうな！」
「そっか。じゃ天哉くん、御武運を。頑張ってね」
「狐月くんもな！」
そのまま別れて、演習会場Ｃへと向かった。更衣室で中学校の運動着に着替えてからフィールドへと足を踏み入れる。きょろきょろあたりを見渡せば…………あっ、あの人、緑の縮れ頭くんの隣にいた不良くん。同じ会場だったんだ。へぇー。
『ハイスタートー！』
へぇー。…………うん？
今……プレゼントマイクが……スタートって、言った…………？
『どうしたぁ！？ 実践じゃカウントダウンなんざねぇんだよ！！ 走れ走れぇ！ 賽は投げられてんぞ！！？』
「…………ッ！！」
マジかよ！
直後、一斉に弾ける受験者達。私も、流石に不意を突かれたので、急ぎ気味で――個性を発動する。
――個性《妖狐》。文字通り、妖狐のような力を持つ。驚異的な身体能力、それに足して化けたり、妖術を使えたり出来る――
「よっと」
軽くその場で準備体操をしたあと、足を力を籠めて跳躍した。個性のお陰で5メートル跳躍し、適当なビルに足を付け、あとは強化された身体能力にものを言わせ……
行くぜ！ 壁登りぃ！
「とぉぉぉりゃあああああああ！」
ズダダダダダダダダダダダ――！ ラストスパートに思い切り踏み込んで――ベゴッ！！ 小さなクレーターを作りつつ再び跳躍して、華麗に屋上に着地。
あはは、ヒーロー志望なのに破壊活動しちゃったよー。なんて思いつつも、私は下を見下ろした。
このビルは他のビルよりも高く、演習会場一帯を見渡すことが出来る。妖狐故、今の私は視力もバケモノなので受験者達の顔も細かい所まで丸裸。
あはは、人がゴミのようだ、あ、嘘。ただ言ってみたかっただけ。
「……さて、やりますか」
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黒猫 - 焦凍君と妖華ちゃんの関係が今後どのようになるのか気になります。更新頑張ってください！！ (2019年1月29日 8時) (
レス) id: 08222d2249 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛月りな | 作成日時：2017年8月15日 14時
