恋は空振り、すれ違い【轟焦凍】 (ページ12)

今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:6,123 hit

第一章：全てを捨て置いてⅩⅠ ページ12

その前に、

「あの、その事何ですが」

　失礼ながらも言葉を遮って言葉を発した。

「出来れば今、筆記を受けることは可能ですか？」

　すると、二人が意外そうな顔を作った。先生が、校長の代わりに代弁する。

「君は目を覚ましたばっかりだし、それに中学の成績は知っている。理由が何にせよ、今回はこちら側に非があったのは変わらない。よって君は……」

「いえ。受けたいんです、ズルしたみたいで嫌なので。それに、リカバリーガールのお陰で完全復帰しているので、そちらの方も心配ありません」

「しかしそれだと、」

「今回の元凶は私です。寧ろチャンスがあると言うことに感謝しています。ですから――」

　……その後も、何回か戸惑われたが、ごり押しで先生並びに校長を説得させて、今から筆記を受けることになった。

　二人が、テストと他の職員たちに話の内容を伝えるために一度学校へと戻り、その間に天哉くんにその話を伝えて、帰って貰うことにした。

「お見舞い、本当に有り難う。嬉しかった」

「何を言う！同中で同じ高校を受験したのだから当然だろう！」

「ふっ、律儀だねー」

　そして手の動きがウケる。

　とは言わなかったが、笑いは隠せなくて、天哉くんに不思議がられた。

　天哉くんを窓から見送って、数十分後、二人が到着して、筆記を受けた。場所はその場の病室、先生が居るなかで。

　内心、3日も勉強していなかったから何個か記憶から吹っ飛んでそうだけど大丈夫かなと不安に思っていたのだが………うん。大丈夫。余裕だ。

　制限時間は各50分だったが、40分程度で見直しも終わったので、時間切れを待たずに次の教科へ。その時の顔は先生は、思わず吹き出しそうになった。

　――それからまた4日後。
　無事に合格通知が届いた。PVみたいなもので、なんとオールマイトが映っていた。(え、これって再生可能？コピー出来る？)

　結果は実技120点、筆記満点！の文句なし、だそうだ。いぇーい、やったぜ。

　同日に、退院も果たした。迎えに来てくれた天哉くんも無事合格通知が届いたようで、表情が今までに見たことないほど明るかった。思わず吹き出すところだった。

　それからは入学準備で大忙しだった。指定の専門店で制服と運動着、靴、それと何より悩んだコスチューム要請。「こういうのがあったらいいなあ」とかは考えていたが、具体的には考えたこともなかった。

　引っ越しもした。

　……勿論、轟家とは距離を置いて。