恋は空振り、すれ違い【轟焦凍】 (ページ11)

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第一章：全てを捨て置いてⅩ ページ11

「いや、君に謝る必要などないよ」

「いえいえ。是非謝らせて下さい。だってその暴走、あなた方の所為じゃないんですから。あれが暴走だったのなら犯人分かって――あっ」

　失言に咄嗟に口を噤むが、時すでに遅し。一番重要な事は全部洩らしてしまっていた。

　意味深な私の言葉に、鋭く反応するお二方。そりゃそうだ。雄英側は単の管理不十分という結論だったのに、それを否定している言葉を溢したのだから。

「犯人がいるだと？」

　先生が低い声で、聞いてくる。校長も「聞かせて貰えるかい」と明るい声音ではあるが、纏うオーラは虎視眈々と獲物を狙うライオンだ。……くわばらくわばら(今更言っても遅いけど)

「えっとぉ……そのぅ……」

　半端ない気迫に畏縮しながらも、何とかこの場の茶を濁そうと苦心する。……が、きっと頭も良い人に通じる話の反らし方など在るわけがなく。

「…………実は、私とやたら闘いたがる子がいるんですけど…………多分、いや絶対その子の仕業だと思いますスミマセン本当申し訳ありません」

　仕方無く白状した。間髪いれない謝罪と共に。

「根拠はあるのかい？」

「はい……。あの、暴走したのは私がいる演習会場だけですよね？」

「ああ」

「それで根拠は揃ったも同然です。まあこれはあくまで持論なんですが……

始めに前提として、雄英の方々が管理不十分だったとは考えられません。暴走は外部の手によるものと思ってます。でもそれならば暴走させたのが1体だけとは可笑しい。つまり単の外部者ではない……わざわざ私がいる演習会場のだけが暴走、また厳重な警戒網の中を突破出来る人なんてあの子以外考えられないんです。

　――そして何よりの根拠が、あの子の個性が――詳細は不明なんですけど――モノを暴走させる個性だからです」

「……ふむ。一応筋は通ってるね」

「まあ個人的には不思議な暴走は全部あの子の所為だと思ってるんですけどね、あはは」

　“あの子”。実は私が引っ越し先で出会った、否。出会ってしまった女の子だ。初めて会った日、喜色満面の笑みで「わあ、名前何て言うんですか？早速なんですけど殺し合いしましょう」ととんでもない吹っ掛けをしてきた。

　焦凍は知らない子。

「だから、謝らせて下さい。私の所為で混乱を招いて申し訳ありませんでした」

「そうかい……まぁそこは後日調査をして真偽を確かめておくよ」

　そこでこの話は終了となり、やっと筆記について説明受けた。