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ページ50

だが、すぐに真剣な顔に戻すと急かすように家へと私を招いた。
促され、その人の正面に座ると、少しの間があって喋り始めた。

「……お前に是非とも頼みたいことがある。だが、その前にお前には言わなきゃならねェことがある」

そこまで言うと、女の人はまた黙り込んだ。
非常に言いづらいことなのだろう。

――仕方ない、と私の方から切り込んだ。

「貴女が言いたいことは大体予想はついています。

今回の鬼が日中活動した原因を(・・・・・・・・・・・・・・)作ったのは自分だ(・・・・・・・・)

そう、言いたいんですよね」

私の言葉に、驚きの色が放たれた。

「……気付いていたのか」

「ええ。鬼を喰った黒い球と鬼に言った“オレの呪符札を盗ンで悪用しやがッて”という言葉で大体は」

「…………なら、話は早ェな。

それを踏まえた上で、頼みたいことがある」

は――――と深く息を吐くと、真っ直ぐ癸七子を見て、噛み締めるようにゆっくり言葉を発した。


「オレの弟子になれ」
「よろしくお願いします」
「は?」
「はい?」


キョトンと癸七子は首を傾げた。

「私、なにか……可笑しいこと言いましたか?」

「は、いや……即答し過ぎだろ!?
オレはお前を助けようとした家族の殺しを手助けしちまッた奴だぞ!?」

「それは私も同じです。私も奴の策にまんまとハマって家族の殺しを手伝ってしまった」

その言葉に言い淀んだ。
女の人を真っ直ぐ見つめて言葉を続ける。

「でも貴女は悔やんでいる。呪符札を盗まれたことを。それで十分です。

だからこそ私たちは前に進まなければならない。

私は強くなると約束したんです。その為にはあなたの力が必要なんです。

だから――」

そこで、すっと目の前に手が出され言葉を遮られる。

女の人は顔を下に向けて、はぁ――と長いため息を吐く。

ぽつり、と「お前、いい性格してンなァ」と呟かれたのを聞き逃さなかった私は、ニッと口元を吊り上げた。

少しの間があって女は意を決したように顔を上げた。

「よッしゃ。そうと決まれば今から修行だ!」

男らしい笑みを浮かべると、トントンと煙管で床を叩く――と、何も無い空中から本が飛び出してきた。

――ドサドサっ


その数、50。
全て辞書並み。


「……え?」

突如として生まれた本の山に、素っ頓狂な声を上げる。

……嫌な予感がする。

チラリと女の人を見れば……うわぁ、黒い笑みぃ……


――その後、少女の叫びが屋根を突きぬけた。




[完]

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作品ジャンル:アニメ
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雛月りな(プロフ) - 華さん» コメありがとうございます!自分でもこんなに手の込んだ展開が書けるとは思っていませんでした笑。(こっからネタバレかも→)まだ伏線回収がなっていないものがあるので楽しみにしていてくださいね!…皆さんが受け入れてくれる内容かは不安があるんですけど、アハハ (2019年8月17日 10時) (レス) id: e209b0612b (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - noiseーノイズさん» 主人公ちゃん可愛い雰囲気出てましたか!?いつも「口調悪い……もっと可愛くしたい……」と思いながら書いていたので、noise-ノイズさん(名前合ってますか?)のコメント嬉しさ半分と驚き半分で読ませて頂きました!バトル楽しんで頂けて良かったです!! (2019年8月17日 10時) (レス) id: e209b0612b (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - ひにゃたこさん» ありがとうございます!これからも神でいられるように頑張ります笑。嬉しいコメントありがとうございます!! (2019年8月17日 10時) (レス) id: e209b0612b (このIDを非表示/違反報告)
- 凄いしか出てきません!!とても面白い展開で、ワクワクしながら見させて頂きました!!大好きです!!これからも頑張って下さい!!応援してます!! (2019年8月17日 3時) (レス) id: 2aa6dd9a8d (このIDを非表示/違反報告)
noiseーノイズ(プロフ) - よ、読みやすいっ.....!主人公ちゃん口調とか可愛い雰囲気を感じるのに物語はすっごいバトルですね!いやぁー読んでて楽しいです!更新頑張ってください! (2019年8月17日 1時) (レス) id: c4f6a2aaa5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雛月りな | 作成日時:2019年8月5日 18時

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