。※(中) ページ36
このままじゃジリ貧だ……!
何とか、何とかして打開しなければ……!
「うおらああああ!!」
「っ!!しまッ――」
この状況に焦りを覚え、注意が散漫になっていた隙を硬質化した鬼の拳が横から飛んできた。
モロに直撃して吹っ飛ばされた体は轟音とともに大木に激突し、体中の血と酸素が吐き出された。
ミシ、バキ
その音は大木からか、はたまた自分の体からか。
嫌な音が耳に届き、直後ぐにゃりと視界が歪み、吐き気が襲った。
(……うろこ、だき、さん……)
体の踏ん張りがきかず、地面に崩れ落ち――ることは許されず、鬼は喜色満面で攻撃を加え、体を雪に転ばせて回避する。
その弾みで起き上がる。
「ぐっ……」
(コイツら……楽しんでやがるッ……!)
足が地面に着く度、体を動かす度、骨が軋みをあげ、内臓がぶらぶら揺れる感覚がこの上なく気持ち悪い。
(こういうとき炭治郎くんは呼吸は浅く早くして足周りを強化するって言ってたけど、ここまで重症だと効果が薄い……っ)
いやそもそも呼吸がままならないからそれ以前の問題か、と歯噛みする。
(それに内臓の揺れはどうにも出来ない……筋肉で固定しようと思ってもそれが出来ないほど筋肉が疲労している……!)
どうする。
どうするどうするどうする!
さっき大木に激突した衝撃で片腕が折れた。
力が半減だ。
これでは鬼の頸は……斬れないッ――
(まだなの!?まだ到着していないの義勇さん!?)
「く、そ、がァ゙……!!」
「ハハハ!逃げた逃げた!」
「逃げても無駄なのにね」
背中を見せて駆け出す私を
逃げてねーよぶわぁか!
そう叫びたがったが、ぐっと堪えて必死に走り続ける。
義勇さんから、あの家族から遠ざかる方向へ全力で。
鬼の頸が斬れなくなってしまった今、自分に出来ることは絶対にコイツらを義勇さんの元へは行かせないように誘導することだけだ。
鬼は獲物を逃がさないと猛り狂う肉食獣ように、私を追いかけてくる。
そうだ。こっちへ来い。私を
歪む視界で、何度も転びそうになりながらも足は止めることなく前へ進む。
前へ、前へ、前へ……
――その時、木の陰からナニカが飛び出してきた。
「癸七子!癸七子!」
「ッ!?か、鎹ガラっげほっがはッ」
(この仔……一体いつからここに……?)
鎹鴉は私の肩に乗ると、申し訳なさそうに言った。
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雛月りな(プロフ) - 華さん» コメありがとうございます!自分でもこんなに手の込んだ展開が書けるとは思っていませんでした笑。(こっからネタバレかも→)まだ伏線回収がなっていないものがあるので楽しみにしていてくださいね!…皆さんが受け入れてくれる内容かは不安があるんですけど、アハハ (2019年8月17日 10時) (レス) id: e209b0612b (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - noiseーノイズさん» 主人公ちゃん可愛い雰囲気出てましたか!?いつも「口調悪い……もっと可愛くしたい……」と思いながら書いていたので、noise-ノイズさん(名前合ってますか?)のコメント嬉しさ半分と驚き半分で読ませて頂きました!バトル楽しんで頂けて良かったです!! (2019年8月17日 10時) (レス) id: e209b0612b (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - ひにゃたこさん» ありがとうございます!これからも神でいられるように頑張ります笑。嬉しいコメントありがとうございます!! (2019年8月17日 10時) (レス) id: e209b0612b (このIDを非表示/違反報告)
華 - 凄いしか出てきません!!とても面白い展開で、ワクワクしながら見させて頂きました!!大好きです!!これからも頑張って下さい!!応援してます!! (2019年8月17日 3時) (レス) id: 2aa6dd9a8d (このIDを非表示/違反報告)
noiseーノイズ(プロフ) - よ、読みやすいっ.....!主人公ちゃん口調とか可愛い雰囲気を感じるのに物語はすっごいバトルですね!いやぁー読んでて楽しいです!更新頑張ってください! (2019年8月17日 1時) (レス) id: c4f6a2aaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛月りな | 作成日時:2019年8月5日 18時