。 伍.暗躍開始 ページ15
その時はまた、どんなに悔しくても心が折れたとしても前に進まなければいけないのだから。
「分かった。儂に新たな弟子が出来たら必ず連絡を飛ばす」
「よろしくお願いします」
快諾してくれた鱗滝さんに深く一礼する。
終始朗らかな声音で話してくれる鱗滝さん。
これ以上、言葉を交わしたら泣きそうだ、もう行こう……と背中を向けて全集中の呼吸で一気に離れようとする直前、鱗滝さんに、呼び止められた。
「最後に一言言わせてくれ」
「何でしょうか。…………え、」
体を翻した時、ぎゅっと鱗滝さんが私を抱きしめた。
すごく、優しい温もり。
「お前は凄い子だ」
「鱗滝さん……」
「お前は出来る子だ。だが無茶はするな。己の命を大切にしない者に他の人を守ることなど出来ない。それを見誤るな」
「………」
それだけ言うと、静かに離れて私の体をクルリと半回転させて背中をトンと押した。
「行け」
「………っはい!」
これ以上の言葉は要らなかった。
心も体も背中を押されて私は駆ける。
背中で鱗滝さんの暖かな視線を感じながら――
――さあ。暗躍を始めよう。
「必ずお前を止めてみせる……鬼舞辻無惨!!」
――――(↓伍話目)
あれから時は流れ、満月が綺麗な夜。
ヒュォォォォ――
夜の風に癸七子の髪が
狭霧山から少し離れた、一番高い山――そこに佇む最も高い木のてっぺんに立つ彼女の眼下には、なんの変哲もない田んぼ道。
それを狐の面越しで見て、ため息を零した。
「流石にすぐには見つからないよね。うん分かってた」
そしてこの発言はやめた方がいいのは分かってはいるが、あえて言わせてほしい。
鬼舞辻まじ幻のポ〇モン並に会わねぇな!と。
この旅を始めて早2ヶ月。
むしろ幻のポケ〇ンの方が会えてると思う。
「とは言ってもまさかここまでとは……」
心の中で少し毒づく。
まだ2ヶ月しか経ってないが、それでもひとつも情報が掴めないとは……
(私の目ならひとつくらい、掴めると思ったんだけどな……)
素人からして、目が良いことは情報収集に向いていると思う。
わざわざ目的地に向かわなくてもこうして高いとこから見ればその一帯を一度で見ることが出来るし、移動の手間が省けるぶん、捜索に時間を回せる。
それに、遠くで見た方が俯瞰できるため個人的に人探しをしやすい。
修行で鍛えられた私の目は今や鳥以上の視力があり、狐の面で顔を隠しても実に半径20km先のアリの動きまで
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雛月りな(プロフ) - 華さん» コメありがとうございます!自分でもこんなに手の込んだ展開が書けるとは思っていませんでした笑。(こっからネタバレかも→)まだ伏線回収がなっていないものがあるので楽しみにしていてくださいね!…皆さんが受け入れてくれる内容かは不安があるんですけど、アハハ (2019年8月17日 10時) (レス) id: e209b0612b (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - noiseーノイズさん» 主人公ちゃん可愛い雰囲気出てましたか!?いつも「口調悪い……もっと可愛くしたい……」と思いながら書いていたので、noise-ノイズさん(名前合ってますか?)のコメント嬉しさ半分と驚き半分で読ませて頂きました!バトル楽しんで頂けて良かったです!! (2019年8月17日 10時) (レス) id: e209b0612b (このIDを非表示/違反報告)
雛月りな(プロフ) - ひにゃたこさん» ありがとうございます!これからも神でいられるように頑張ります笑。嬉しいコメントありがとうございます!! (2019年8月17日 10時) (レス) id: e209b0612b (このIDを非表示/違反報告)
華 - 凄いしか出てきません!!とても面白い展開で、ワクワクしながら見させて頂きました!!大好きです!!これからも頑張って下さい!!応援してます!! (2019年8月17日 3時) (レス) id: 2aa6dd9a8d (このIDを非表示/違反報告)
noiseーノイズ(プロフ) - よ、読みやすいっ.....!主人公ちゃん口調とか可愛い雰囲気を感じるのに物語はすっごいバトルですね!いやぁー読んでて楽しいです!更新頑張ってください! (2019年8月17日 1時) (レス) id: c4f6a2aaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛月りな | 作成日時:2019年8月5日 18時