４０話 ページ11
春樹side
ふゆの綺麗な髪が風になびいた。
やっと手に入る。
「…なんて言われようと、私は春樹のところには行かない」
ほんとお前は気が強いよね。
昔からそうだった。
春樹「なら、今更雄英高校に戻れるとでも思ってんの？
警察もこっちの駒なんだ、お前は間違いなく雄英生襲撃事件の犯人なんだよ。
真実なんて人の言葉で簡単に変わる。
嘘もつき通せば真実になるのさ」
俺の言葉に、ふゆは顔を歪ませた。
「私は犯人じゃない」
春樹「だから…それを誰が信じんの？
証拠写真もばらまかれてんのに。
…可哀想になぁ、お前の友達は犯罪者と仲良くしてたっつーレッテルを一生背負わなくちゃならねぇ」
「何がそんな楽しいの」
春樹「は？」
ふゆの顔を見ると、ふゆは今にも泣きそうだった。
「ヘラヘラ笑って、何がそんな楽しいの。
イベントって何。私を嫌われ者にして何が楽しいの」
春樹「そんな泣きそうな顔しないでよ〜困るなぁ、
いつも強気だからこのくらいのイベントなんとも無いと思ってたけど…相当答えたみたいだね」
「一瞬、春樹のところに行こうかとも思ったよ。
でも、春樹のところに行ったって私の居場所なんてない」
春樹「そんなことねぇよ？立派な殺戮兵器として役に立てるんだ。
ならそれがお前の居場所だろ？」
「私は…道具なんかじゃない…」
ふゆはそう言って屋上の柵をこえた。
ふゆの後ろ姿が夕日と重なる。
春樹「逃げる気？」
「うん、逃げたくなったの」
春樹「逃げたって誰もお前を助けてはくれねぇよ、
お前にはもう俺しかいなんだよ。
いい加減分かれって」
「…春樹、神谷に伝えて。
私はあんたの思い通りになんかならないって」
そう言って振り向いたふゆは泣いていた。
春樹「は、なんで泣いて…伝えてってどういうことだよ」
「逃げたくなったの、
この世界から」
その瞬間ふゆは屋上から飛び降りた。
春樹「なっ…！！ふゆ！！！」
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作者名：カッパ | 作成日時：2017年10月27日 23時
