もう一度あの音を＿＿ (ページ3)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:3,333 hit

３ページ3

太宰は昔と少しだけ変わった気がする。

なにか…大切なものを失うことを知った人の顔をしていた。

私はピアノを弾いていた…か。

家に帰ってみたら少しだけやってみようか。

記憶はなくても体は覚えているはず。

太宰の言うことが本当なら、私は家のピアノを使っていたことになる。

あのピアノ相当の年月使われている様子だった。

あのピアノは誰かからもらったもの？

仮に貰い物だとすると誰からもらった？

中也は…無い。

太宰もない。

首領？流石にないか。

まだ私が忘れている人からもらったものか。

その可能性が高そうだな。

次に太宰とあったときに聞いてみるか。

とりあえず家に帰ってピアノを弾いてみよう。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

家のドアを開けると目の前に大きなグランドピアノが置いてあった。

椅子に腰掛け、鍵盤に指を置く。

近くの楽譜を見ながら少しだけ弾いてみる。

スラスラと弾ける事に少し驚いた。

弾いて居る途中で激しい頭痛がした。

すると、知らない場所で知らない二人と会話をする私が写っていた。

「これは…私の記憶？」

何故かそんな気がした。

何処か懐かしい光景。

私の目から涙が出た。

理由はわからなかった。

けれど、今はこのまま時間が止まればいいと思った。