嘆きの島で【ENCOUNT】 ページ1
学校もあり、いつもと変わらない日常だったのだけれど、とある人魚のおかげで、激流に流されてしまった私こと、A・アーシェングロットです。
復讐をするときに広まった、“対価を払えばどんな願いも叶えてくれる”という噂によりつく哀れな方々を助けつつ契約書を増やしていた。
もちろん、ちゃんと対価を払ってくれて、条件を満たした方には、それ相応の願いを完璧に差し上げましたが……。
たまにいるんですよ、それが出来なくて契約を破ってしまう方が。
そんなときは泣きながら(概念)お仕置をするんです。
まぁそんなわけで、味方もそこそこいるけれど、敵も少なくない私は、莫迦な人魚にあれよあれよという間に激流へ突き落とされてしまったわけです。
流されてしまったときは、逆らえば体力を失ってしまい、早々に力尽きてしまうので、あえて流れに逆らわずに流され続けた。
たとえ遠くに行ってしまったとしても、帰ってこれないわけではないですし、なにしろジェイドとフロイドがそのうち探しに来るでしょう。
激流が緩くなったところで抜け出し、地元とは全く違う水質、水温の海を漂う。
危険もあるでしょうが、いったん陸へ上がってみましょう。
人魚の姿であれば、魔力を帯びた歌である程度は人間に言うことを聞かせられるはず。
近くの岩場まで上がり、海水に足を浸しながら喉を開いた。
背中に張り付く髪を指で梳かしながら、風に歌声を乗せる。
さて、歌声につられてくるのはいったいどこのだれでしょう。
「そこに……誰かいるの?」
さっそく、歌につられて人間がやってきたようだ。
振り返ってみると、自分と同い年くらいの男の子がいた。
服装からしてお金持ち……それから凄く目を惹く青く燃える長髪と、黄金の目。
でも、なんか違和感が残る彼に、本心を隠しながら微笑んだ。
「ねぇ、人間さん。ここがどこか教えてくれませんか?」
容姿に自信があるわけではないけれど、珍しさで言えば私ほど珍しい人魚はいるまい。
なにしろ足が八本もある蛸の人魚ですもの。
「え、えっと……っ」
「ふふ、怖がらないでください。もしかして、人魚を見るのは初めてですか?」
私が手で招くと、男の子は小さく頷いておどおどしながら少しずつ歩み寄った。
歩きながら、ふわふわメラメラと青い炎で空気を燻らせながら。
近くまで寄ってくるその人を見て、私は違和感の正体にようやく気がついた。
「貴女、もしかして……っ」
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ぬ - 長文失礼致しました (1月5日 1時) (レス) id: 366c5c0809 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ - なんか、、もう全体的に好きです。素敵です もし作者様がまだ占ツクやっておるのでしたらこの作品の続きを書いてもらいたい、、キャラの口調が本家の特徴をしっかり捉えられていて尊敬します!この様な素晴らしい作品に出会い私は幸せです。頑張って下さい応援してます (1月5日 1時) (レス) @page9 id: 366c5c0809 (このIDを非表示/違反報告)
わいわい(プロフ) - すごく好きな作品です!!!!作者様!!無理せず更新頑張ってください\(__) (2022年3月25日 21時) (レス) @page9 id: 6e9aca6f03 (このIDを非表示/違反報告)
びむあ - すごい好きです!更新待ってます! (2021年8月21日 10時) (レス) id: 505448be61 (このIDを非表示/違反報告)
リサ - めっちゃ読み返しちゃう位、この作品が大好きです(人´ v`*)♪ (2021年6月19日 15時) (レス) id: 2c35d5203a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マリア | 作成日時:2021年2月23日 1時