醜い少女のビティング ページ32
「遅かったですね、ジェイド。」
「そうでしょうか？僕としては早い方だと思ったんですけど。」
フロイドの後で私の"お使い"から帰って来たジェイド。
しっかりと成果を出してきたみたい。
「お疲れさまです、甘いお菓子でもいかがです？」
「……貴女が僕を甘やかすなんて、」
信じられない、とでも言いたげだ。
心外ですね、それくらいはしますよ。
「成果を出してきた者にはそれ相応の対価をお支払いしますよ。"ご褒美"、いりませんか？」
「ふふ、そうでした。お願いします」
海底で採れる甘い果実を取り入れたお茶菓子を一つつまむと、その私の指ごとジェイドの口の中に入ってしまった。
「こ、こら！私まで食べないでもらえます！？」
「おやおや……あまりにもおいしそうだったので。」
指先をぺろりと舐め、含み笑いをした。
わざとね、まったく……。
「ところで、海藻みたいに貴女に絡みついてるフロイドはいったい……」
「ああ、これはですね……」
ジェイドより一足先に帰っていたフロイドは、私を見るなり抱き着いてきた。
まあ、こうなるなんてことは少し予想していたのでいいんですが。
なにせ私のだした"お使い"は、彼にとって少し精神的難易度が高めでしたから。
「フロイドにしかできないものでしたもの。これくらいは許容します」
肩に乗っている髪に指を絡めると、ようやく顔を上げた。
「お目覚めですか？」
「お目覚めたくねぇ……」
「おかしな言葉遣いだこと」
呆れるでもなく頭を撫で続けていると、ジェイドに指を噛まれた。
「痛っ……」
「フロイドの相手ばかりで良いんですか？目を離している隙に、この指くらいはおなかに収めてしまえますけど？」
傷口から流れる血を、見せつけるかのように舐めとるジェイド。
唇を青く濡らし、暗く淀んだ右目が睨んだ。
「……雇い主の手にかみつくなんて、行儀のなってないウツボですね。躾です」
物言いに少しばかり腹の立った私は、顎をひっつかんで口を首筋に持っていく。
そして、容赦なくそこへ歯を立てた。
「いっ……！！」
「……私だって"キバ"が無いわけではないんですよ。」
噛んだ時に出てきた赤い色を、唇にグッと塗り付けた。
「……ジェイド面白れぇ顔してんね」
「……ふ、ふふふ、ええ、わかっていますとも。そうですね、僕は、僕らは、貴女に牙を向けることすら叶わない。」
ジェイドはまた、恍惚な笑みを私に向けた。
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フェイタン - 更新頑張ってください！ (2021年2月22日 11時) (
レス) id: 2a27e87c15 (このIDを非表示/違反報告)
ロア(プロフ) - 待ってました！！この作品ほんと好きなので超うれしいです！これからも頑張ってください！！ (2021年2月14日 21時) (レス) id: df3d955625 (このIDを非表示/違反報告)
レモンティー - 久しぶりの更新待ってました！最高です！更新頑張ってください (2021年2月14日 19時) (レス) id: 1029d3705d (このIDを非表示/違反報告)
イデアル(プロフ) - コメント失礼します！読んでいてとっても面白かったです！これからも応援しています！最新待ってます！！！ (2021年1月29日 20時) (レス) id: 8f079ea4bd (このIDを非表示/違反報告)
塩苺(プロフ) - 簡潔に一言だけ…めっちゃくちゃ好きです｡更新頑張ってください！！ (2020年11月20日 1時) (レス) id: 7b3710605c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：マリア | 作成日時：2020年8月23日 3時
