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第四十二話 幸福 byクラウィン ページ43
紅葉side
この校舎には、もう私だけだ。
姉さんも、フールも葵も、先に卒業してしまった。
窓の外を見れば、桜が満開に咲いている。
教室内を見渡せば、泣いているものが居る。
きっと、大切な人が卒業してしまったのだろう。
私は別に悲しくはない。
姉さんも、フールも葵も。
いつでも会えるからだ。
なのに…なぜか…
凄く悲しい。
誰かを忘れているような気がする。
でも、その誰かが分からない。
桜がひらひらと散る。
その姿は必死に生きる人の命のようだ。
人の命は簡単に散っていく。
脆いが故にとても頑丈だ。
紅葉「…ユカ」
ふっと、口から溢れ出た名前。
この学校に、そんな名前の人は居なかった気がする。
だけど、なぜか元気が出た。
頑張って生きなければ、と思った。
私は、力一杯生きることを決意した。
そして、幸福を手にする。
誰かの涙は見たくない。
顔も知らない誰か。
ありがとう。
紅葉のHAPPYEND 完
第四十三話 幸 byクラウィン→←第四十一話 幸せ byクラウィン
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