Episode.528 ページ45
『……Aは¨弟¨の名前。私の本名は¨チコ¨
私達は……10年前にこの男の能力で精神を入れ替えられた』
「！！」
『私は弟の身体に、弟は私の身体に入った。これで正真正銘……両方ともAでもあるし、チコでもあった
弟はそのまま能力で何処かへ連れていかれて、私だけが故郷のアイゼンに取り残された。後に父親に無理言って船を出させてもらって、弟の行方を探すべくローグタウンに移住した
……まァ、そこからは色々あって美容師に落ち着いて……弟を探しつつ、働きつつみたいな感じだった。皆と出会ったのもその時だ』
色々と端折った部分はあるが、おおまかな人生はこんな感じだった
皆に伝えないといけない部分はちゃんと伝えたから、他は……良いだろ
「じゃあ、今まで……Aは、女の子だったの？」
『……まァ、一応？身体は男だったけどさ……中身は女と言うか……うぅん、難しいな』
「そう言うのを聞いているんじゃなくて！！私……ッ、何度もA……いや、チコ……？に……男だからって……」
『……！言ってないんだから分かるわけないし、気にしてない。今までの行動とかは全部性別なんて関係ない』
「……そういや頑なに皆で風呂入ろうとしなかったのも」
『あのなウソップ……それ禁句。アラバスタでは一回入ったんだしチャラにしてくれ。結構気まずかったんだからな……』
「ホントじゃない！！何お風呂一緒に入ったのよ！！何とか理由付けて入らなきゃ良かったのに！！」
『あそこで入らないと余計おかしいだろ、身体は男だし……て言うか10年も男の体で居るんだから慣れてる。気まずいってのは、なんか覗き見してるみたいな感じで申し訳なかったと言うか……』
一体何に言い訳しているんだ、と思った矢先、背筋に悪寒が走った
振り向かなくても分かる。アインスの、あの視線……
「これで分かったね、君達が仲間だって思ってたAはずっと皆を騙してたって」
『違うッ！！俺は、皆を騙してなんかない！！』
「凄いね、この状況でそれ言えるんだ」
『……そりゃ、結果的に騙す形にはなったけど……言おうとした、何度も……！
でも、出会ったばかりの人間に、実は中身は女です。なんて言えるわけないだろ……言ったところで、どうしろって言うんだよ！体は男なのに……ッ！！
……皆になら言っても大丈夫かな、なんて思えた頃にはもう遅すぎた』
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←Episode.527
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1376人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鶯 | 作成日時：2023年1月6日 15時
