日常記録3【爆豪勝己】 (ページ41)

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そん時ページ41

「次の合コンは来てくれるって約束したよね」と

散々逃げ回ってきた私を今度こそは逃がすまいとする友人の根性はすごかった

乗り気になれない重い足取りで、ほぼ人数合わせ要員として店に向かう

小洒落たお店なんて来るのは久しぶりで、居心地が悪かった

前菜が運ばれてくるころには自己紹介も一通り終わり

その後は中身のない話に何となく口を合わせ、せっかく来たのなら食べるだけ食べようという心持ちだった

「おー、遅かったな爆豪」

右から左へ受け流していた会話の途中、個室の戸が開く音と同時にそんな声が聞こえた

爆豪、という言葉にまさかと目をやれば、そのまさかで

そこには高校卒業ぶりに再会する爆豪勝己がいた

対角の席に座った彼とバチッと目が合って向こうも驚いているようだった

私が彼氏もいないのに合コンも恋愛にも興味を持てない理由はまさにコイツのせいだ

爆豪と私は当時両想い、だったと思う

私たちの間に確信的な言葉はなかったけど、それでも確かな何かがあった

私だけに見せる爆豪の優しさを知っていたし、私も彼を特別に想っていた

けど、学生時代の恋なんて脆くて弱い

距離が近くなればなるほど、周りからの視線が気になったのは確かで、爆豪は特に茶化されるのは嫌いだった

友達以上恋人未満の関係からずっと抜け出せない距離がもどかしかった

3年の夏、我慢できなくなったように私が切り出そうとしたら

「そん時になったら俺から言う」

そう言われて、私の想いは打ち消された

爆豪の言う「そん時」っていつ？
いつまで待てばいいの？

私たちの気持ちより周りの視線ばかり気にする爆豪に、彼が私に向ける想いはそんなものなんだ、と胸が痛かったのを今でも思い出す

それから私と爆豪は疎遠になって、卒業をしてからも連絡すらしなかった

なのに、こんな形で再会するなんて

昔のことを思い出したせいで、
あんなこと言っておいて悠々と合コンに参加している爆豪に腹が立ち、やけ酒と言わんばかりに酒を呷りすぎた