日常記録3【爆豪勝己】 (ページ26)

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駆け出しヒーローページ26

敵「皆殺しだ！！！」

爆撃音と嘲笑う敵の声がフロアに響く

商品に炎が燃え移って肌が焼けるように熱いし、意識も朦朧としてきた

けど、唯一の救いは小学生の時にやった防災訓練の記憶が案外定着していたということ

古い記憶を辿り、鞄からハンカチを出してできるだけ体勢を低くした

にしても、こんな平日の昼下がりに敵と出くわすなんてついてない

周りは火の海だしこんな何の変哲もない日に死ぬなんて、それにまだ大学生なのに

少し離れたところで爆発音が鳴った気がする
ヒーローはまだ到着してないのかな

こんなことなら冷蔵庫にあったプリン食べてくればよかった、なんてアホなことを考えながら意識を手放しそうになった直前

地面に叩きつけられる痛みはなくて
倒れる寸前に誰かが支えてくれたようだ

爆｢安心しろ｣

目元に黒いマスクをした、ヒーロー？

弟がヒーローマニアだから大抵のプロヒーローは知ってるけど、この人初めて見たなーなんて、死ぬかもしれない状況で考えるようなことでもないな

けど、一瞬だけ交差した赤い瞳を見て、彼の言葉通り不思議と安心できた

その瞳には｢絶対に助ける｣という満ち溢れた自信が宿っているように見えたからかもしれない

外に連れ出されたのはあっという間だった
横抱きにされたまま使っていた個性をみるに、爆発音はこの人のものだったようだ

ショッピングモールの外には数台の救急車が到着していて、忙しく救急隊員が行き来していた

大した怪我のない私は用意された簡易ベンチに下ろされる

爆｢どっか痛てぇとこあるか｣

貴｢ないです｣

しゃがんでそう問いかけてきたこのヒーローは、私と同い年くらいに見える

爆｢気分は｣

貴｢だい、丈夫です｣

あの時合った赤い瞳があまりに綺麗で、こんな状況だと言うのに見入っていた

ヒーロースーツから見える鍛えられた腕の筋肉、分厚い胸板、意識したら色んな所に目がいってしまい

姉弟の血は争えないとでもいうのか、それともこれが所謂吊り橋効果というやつなのか

ただ単純にヒーローとしての彼の立ち振る舞いがカッコイイと感じたのか

いくらでも思い当たるところはあるし、彼が原因で脈の打つ速度が早まっているのがわかる