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貴「な、なんで…」



爆「暫く会わねぇうちに幼なじみの顔忘れたなんて抜かすんじゃねぇだろうな」



ムニッと頬をつねられると、冬の寒さで普段よりもヒリヒリと痛い、不覚にも夢じゃないことを思い知る



貴「忘れるわけないじゃん……かっちゃんこそ」



私の事忘れたと思ってた、そう続けようとしてそれは呑み込んだ。自分で言ってまた虚しくなるだけだ。



爆「変わってねぇな」


貴「かっちゃんは変わったね」



お前と違って日々成長しってからな、という彼に昔だったら小突いてやったけど、今の私にはそんなことできなかった



そんな私の様子を変に思ったのか、不審な顔をして何か言い出そうとする彼の言葉を遮る



貴「結婚、おめでとう」


爆「は?」


貴「お昼の生中継見たよ、婚約してるんでしょう?」



彼の意表を突いたのか、驚いた顔を見れたのはレアかもしれない



貴「おめでとう


あーあ、かっちゃんに先越されちゃったー」



私はどうやら地雷を踏みやすいみたいだ
話題を変えようとこの話を持ち出したのに結局胸を痛めてるんだから本当馬鹿だな



あはは、と悟られないようにから笑いをしてみてもかっちゃんからの反応がなくて、気まづくなって、帰ろうかなと体を翻そうとしたら



爆「忘れたンかよ」



そう言ってかっちゃんは私の歩みを止めるように手首を掴んだ



なんか忘れたことなんてあったかな、と俯きながら考えていると、「ハァ」とため息が頭上に降る



爆「俺が申し分ねぇヒーローになったら結婚するっつったろ」



まさかかっちゃんの口からそんなことをもう一度聞けるなんて思いもよらず、驚いて顔を上げる



貴「そ、そんなの子供の頃の口約束じゃん……ていうかそんなこと覚えてたんだね」



爆「覚えてるに決まってんだろーが」


そう言ったかっちゃんは何故か少し怒っていた



貴「あんなの破ってくれていいのに
私は気にしてないから、かっちゃんの好きな人と」



その先の言葉を言う前にグイッと腕を引かれ、すっぽりと彼の胸の中に押し込められた



爆「あんなのってンだよ



なんのために強くなって、要らねぇ仕事引き受けてまで金稼いできたと思ってんだ」



脈略のないその言葉は上手く理解できなかったし



人通りは少ないけど、街中で抱きしめあっていたらそりゃあもちろん人の視線は集まるわけで



今の状況にも困惑していたけれど、彼がヒーローダイナマイトであることがバレてしまうんじゃないかと気が気でない

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作者名:桜羽 | 作成日時:2022年6月4日 21時

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